涙あり、笑顔ありの“名場面” ファン共感呼んだ斎藤佑樹、松坂大輔の「引退試合」

西武・松坂大輔(左)と日本ハム・斎藤佑樹【写真:荒川祐史、石川加奈子】

パ・リーグで“現役最後”とわかって試合に臨んだ3選手

長く球界を沸かせてきた選手が、次々と現役に別れを告げている。現役最後の試合で見せる笑顔あり、涙ありの姿が、ファンの共感を呼んでいる。今季パ・リーグで引退試合を行った選手の“名場面”を振り返ってみよう。

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日本ハムの斎藤佑樹投手は、2度の引退試合を経験した。2006年夏の甲子園、早実のエースとして決勝再試合を経ての優勝投手となった佑ちゃんは、“ハンカチ王子”として野球界の枠を超えたスターになった。早大を経てプロ入りし11年、肩肘の大きな故障を経て現役を退くことを決めた。

最初に引退マウンドに立ったのは、近年過ごすことの多かった2軍の本拠地・鎌ケ谷だ。10月3日、2軍・DeNA戦の6回無死からマウンドに上がると、乙坂に向かって5球。カウント2-2から空振り三振に仕留めた。直球の最速は133キロだった。

1軍では10月17日のオリックス戦が引退登板。7回、入団当時と同じ「勇気100%」のかかる中でマウンドに上がり、福田周平内野手に対して7球を投げたものの四球。笑顔を浮かべマウンドを降りたものの、ベンチで栗山英樹監督に言葉をかけられるとすぐに涙が溢れた。ここまで背負ってきたものの大きさを感じさせた。試合後は2軍メンバーが「勇気100%」を合唱する映像が流れる中で場内1周。最後までさわやかな笑顔を見せてくれた。

西武の松坂大輔投手は10月19日の日本ハム戦で現役に別れを告げた。大リーグからソフトバンク、中日を経て復帰した古巣では、最初で最後の公式戦マウンド。1歩踏み出しただけでスタンドからは大拍手が起き、1999年のデビュー当時から変わらぬワインドアップで横浜高の後輩・近藤健介外野手に5球を投げ込んだ。右手の痺れがある中、必死で調整しての結果は四球。ただ投げ終えてからはやり切ったような、すがすがしい笑顔を見せた。

首位打者1度の実績を誇る巧打者、ソフトバンクの長谷川勇也外野手は21日の日本ハム戦が現役最後の試合となった。CS争いの真っ最中で出場は未定とされていたものの、両軍無得点の7回1死から代打で登場すると、一ゴロに全力疾走し、迷わずヘッドスライディング。さらに後続の甲斐拓也捕手が左翼へ先制2ランを放ち、2人して涙する姿はファンの感動を呼んだ。(Full-Count編集部)

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