“韓流四天王”イ・ビョンホンが今でも輝き続ける理由 『イカゲーム』でもオーラ全開

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イ・ビョンホン (C)Zeta Image

米国を含む世界94ヵ国で視聴数が1位になり、まさに世界制覇を果たした今最もアツイ韓ドラといえば『イカゲーム』(Netflix)。映画『バトル・ロワイアル』や『カイジ』を彷彿(ほうふつ)とさせる壮絶なデスゲームは、人間の欲望と心理に迫りながら、最も恐ろしい本性を引き出し、緊張感と共に、観る人へ数々のメッセージを投げかけた。イ・ジョンジェや、パク・ヘス、チョン・ホヨンなど、出演俳優のインスタグラムのフォロワーが激増するなど、俳優たちにも注目が集まっているが、その中でも筆者が「おぉ〜!」と思わず大声を出してしまったのが、大物俳優イ・ビョンホンの登場。圧倒的カリスマ性を放ったまさに“別格”なオーラに、私と同じように鳥肌が立った方も多いのではないだろうか。一瞬の登場でも画面を圧倒するスター、ビョンホンのこれまでの経歴を振り返りながら、その魅力に迫る。

■元祖“韓流四天王”からハリウッドスターへ

ビョンホンは、2004年前後にテレビドラマ『冬のソナタ』が火付け役となり日本で巻き起こった韓流ブームで、ヨン様ことペ・ヨンジュンをはじめチャン・ドンゴン、ウォンビンと共に、韓国を代表する韓流スターとして、“韓流四天王”とうたわれ大フィーバーを巻き起こした。

初期は、韓国内でもエキゾチックな甘いマスクで演技よりルックスが目を惹(ひ)く“イケメン俳優枠”として注目を集める存在だったが、『JSA』や『甘い人生』での演技力が高く評価され、第92回アカデミー賞で最多4部門に輝いた『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホ、第57回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシクなどのトップ俳優たちと共に、韓国映画界トップの演技力を持つ俳優として本国で必ず名前が挙げられてきた。

さらに、2009年には『G.I.ジョー』でハリウッドデビューを飾り、その後も『ターミネーター:新起動/ジェニシス』など韓国、アジアを超えてハリウッド作品にも数多く出演。“トップスター”の座を一度も降りることなく、精力的に俳優活動を続けている。

■“千の顔を持つ俳優”とうたわれる表現力

ビョンホンの存在感は画面にも表れているように、まさに別格。その圧倒的画力だけでなく、彼のすごみは、ジャンルとキャラクターを問わない演技の多様さにある。

ロマンス、ギャング、時代劇、アクションなどジャンルに関わらず、すべて消化し、ノワール映画でのギャング、暗殺者、コメディータッチな役まで、180度異なるキャラクターを完璧に演じることから“千の顔を持つ俳優”と称されている。

愛する人を奪われ、狂気に満ちあふれた復讐の鬼へと化していくさまを、圧巻の演技力で魅せた『悪魔を見た』、暗殺を恐れる暴君とその影武者となった心優しい道化師1人2役を、細かな所作や︎表情演技で見事に演じ分けた『王になった男』、どこか憎めないチンピラの役を人間くささいっぱいに演じた『インサイダーズ/内部者たち』など、時にはコミカルなタッチで、時には熱い涙で変身演技を重ね、数々の名作を誕生させてきた。

ダークなスーツに身を包み、キレあるアクションをキメるようなかっこいい役はもちろん、お調子者で情けない三枚目の役柄を、人間味あふれる姿で演じ、視聴者に情を抱かせるのが彼の本当のかっこよさ。

そのずば抜けた演技力とカメレオンぶりを証明するかのように、韓国の3大映画賞(青龍映画賞/大鐘賞/百想芸術大賞)では、合計8回の主演男優賞や、最優秀演技賞、大賞を受賞しトリプルクラウンを達成。テレビドラマの方でもSBS演技大賞、KBS演技大賞を1回ずつ獲得しただけでなく、韓国のゴールデングローブ賞とうたわれる百想芸術大賞では、テレビ部門の最優秀演技賞をなんと4回も受賞した経歴を持つなど、演技力では右に出るものはいない、圧倒的な存在だ。

■演技力を存分に味わえる名作ドラマ

筆者が、彼の演技のすごみと圧倒的なスター性を改めて実感した作品が、ドラマ『ミスター・サンシャイン』。空前の大ブームを巻き起こした『トッケビ ~君がくれた愛しい日々~』のイ・ウンボク監督と脚本家のキム・ウンスクという、韓国一のヒットメーカーたちが手掛けた名作だ。ビョンホンが『IRIS-アイリス-』以来9年ぶりのドラマ出演となった本作で、それまで勝手に彼に抱いていた“近寄り難い大スター”といったイメージが完全に覆った。

彼が演じているのは、幼い頃その低い身分から朝鮮に絶望し、アメリカに渡った後、任務で朝鮮に戻ってきた米軍海兵隊大尉ユージーン・チョイ。朝鮮時代最高名家の令嬢でありながら、祖国を守るために闘うキム・テリ演じるコ・エシンお嬢様と出会い恋に落ち、恨んできた祖国朝鮮への心理変化を深い表現力で演じている。

軍服に身を包んだクールな姿から発せられるあの渋い低音ボイスで、ヒロインを包み込むような父性的な包容力を持ち、いつも冷静沈着で感情を見せない彼が、ヒロインの前で見せる、まるで初恋を経験する少年のような無邪気な笑顔は、キムとの20歳の年齢差がうそのよう。彼の最大の資産である快晴の笑顔と、身分の差がある切ない恋の前で一喜一憂するそのギャップには思わず「イ・ビョンホン様かわいい…!」と声が出てしまうほどだ。

近年のラブストーリーには珍しく、キスシーンが1つもない純愛だが、「ヒロインに靴を履かせる」というシーンだけでここまで胸がキュンとすると同時に切なくて涙ぐんでしまう。終始、彼の演技に目を奪われ、圧倒されてしまい、後半は号泣嗚咽(おえつ)。見終わった頃にはリアルに約1ヵ月ほど引きずるくらいの強烈なロスに襲われる。韓国映画界の頂点に君臨する圧倒的なスターとして凛(りん)とした気品を示しながら、どこか身近さをも感じられる圧巻の表現力には感服した。

テレビドラマ『アスファルト、我が故郷』でデビューしてからちょうど30年。移り変わりが激しい韓国芸能界で、ビョンホンのようにこれほどの長い時間、1つのイメージに閉じ込められることなく、常に変化を遂げながら第一線で活躍し続けるのは非常にまれなこと。特有の重みとカリスマ性を放ちながら画面を圧倒するビョンホンの飽きのこない演技は、スクリーンやテレビで輝き続ける。(文:Nana)