【フィギュア】村元哉中&高橋大輔 結成2年目で驚異の進化 衝突繰り返し深まった絆

北京五輪への決意を明かした村元(左)と高橋(東スポWeb

フィギュアスケートのアイスダンスで北京五輪を目指す“かなだいカップル”こと、村元哉中(28)と高橋大輔(35=ともに関大KFSC)が驚異の進化を遂げている。シングルで世界の頂点に立った高橋が、翌年からのアイスダンス転向を発表したのは2019年秋。結成2年目の今季は初戦で優勝を飾り、波に乗る。その2人が本紙の単独インタビューに応じ、1年目からの変化、妥協なき衝突によって前進する奮闘秘話、北京五輪への決意などについて激白した。

――ソーラン節のリズムダンスは話題沸騰。フリーも進化していた

村元 リズムダンスは楽しく強く踊れ、フリーでは反対に夢の世界での踊りを感じられました。それぞれのプログラムの表現はすごく良かったと思います。課題を挙げればきりがなく、プログラムを変更しながら一つひとつクリアしています。

高橋 僕はパフォーマンスの部分で、先シーズンはほとんど外に出せなかった。でも、今回はお互いに外に向けて披露でき、すごく成長できたと思いますね。ただ、エッジワークやリフトの質は練習より全然、出せなかった。そこは次に生かしたいです。

――高橋選手が成長したところは

村元 大ちゃんはすごく背中が柔らかく、体がしなやかになった。

高橋 そもそも硬すぎたっていう(笑い)。

村元 ホールドしている時にグッと背中が入っている感じで、腰の入り方が全然違う。リフトもすごく安定しましたね。

高橋 姿勢や爪先や足の高さのことをよく言われてきたので、トレーニングや柔軟、バレエなどで徐々に改善しながらやっています。

――頑丈ではなく、しなやかになったのか

村元 いえ、頑丈でもあり、しなやかでもあるんです。バランスが良くなったと思いますね。

高橋 強くして、柔らかくして…なので、なかなかグーンと成長できませんが、行ったり来たりして地道にやっている感じです。

――村元選手の変化は

高橋 昨シーズンは自分を抑えていたなって感じます。僕の動きに合わせて踊ってくれていた。でも、今は思いっきりやってくれて、もともと抑えていた本性?みたいなものをドンドン出せていて…って、すごく上からみたいだけど(笑い)。

村元 全然、上からじゃないよ。でも、言われてみると確かに去年は大ちゃんの動きを見て、抑えていた部分はあったかな。私は大ちゃんの滑りがすごく理想。その大ちゃんに余裕が出てきたので、自分も“こういうふうに踊りたい”って出せるようになった感じです。

――まさに以心伝心だが、衝突することは

高橋 もちろん、ありますよ。

村元 2人とも良いものをつくりたくて、熱が強すぎてぶつかることが多いです。でも、そのまま終わると何も解決しないので、いったん落ち着いた後に「あの時はね」って話し合います。そうすると改めて大ちゃんが伝えたかったこと、私が言った意図を確かめることができるので。

――どういう時にぶつかるのか

高橋 例えば体の使い方ひとつで滑る角度が変わるんですが、ヘルプしようと思ったことが逆に相手の邪魔になったり。お互い良くしようと思ってやっても、それが間違っている場合もあるし、伝えたつもりでも伝えきれてなかったり。妥協する時もありますが、お互いに疲れすぎて余裕がないと、ぶつかったまま終わったりする時もあるんで(笑い)。

村元 でも、そんな激しくはないよね? モノトーン(単調)みたいなぶつかり合い? ガーッ!って言い合う感じではないですね。

高橋 うん、そんなに激しいタイプじゃないですよ(笑い)。

村元 ハハハハ。

――衝突して絆が強まっているのか

高橋 だんだんと理解してきた感じかな。

村元 そう、徐々に理解していって(将来的に)何も言わなくても伝わると思いますが、まだ2年目なので言っていかないと。これから積み上げていきます。

――最後に北京五輪への決意表明を

村元 まず全日本選手権で勝たないと北京五輪への道は開かない。全日本優勝を目指して、一日一日練習を大切にし、どんどん絆を深めて頑張っていきたいです。

高橋 もちろん北京五輪が目標ですが、それ以上にこの経験ってものを大事にしたいです。その中で「かなだい」のアイスダンスを皆さんに披露する機会を大切にしていけたらと思っています。

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