【衆院選2021】衆議院選挙小選挙区で僅差で勝負が決まった選挙区はどこか?(データアナリスト・渡邉秀成)

選挙が近くづくたびに、投票率の低下傾向について報道されますが、確かに国政選挙、地方選挙ともに投票率が低下傾向にあります。

図1 投票率の推移

図2 棄権者数

折れ線グラフで投票率の低下を表現したものと、投票を棄権した人数をグラフで表現したものの2つで表現してみました。投票率の低下傾向と報道されることが多い選挙ですが、投票率ではなく棄権者数でグラフを作成すると、棄権者数の多さに気付かされます。

この投票を棄権してしまう理由として、だれに投票するればよいのかわからない、適当な候補者政党がいなかった、どこに投票してもなにも変わらないといった有権者の声があります。

これらの理由が選挙に投票しなかった理由としてあげられますが、投票を棄権せずに、どこかの政党、候補者に投票していれば選挙結果に変化が出たのではないかと思われる、選挙区が過去の選挙結果を見るとポツポツあります。

今回は、第41回から第48回までの衆議院小選挙区選挙で僅差で勝敗が決まった選挙について見ていきたいと思います。

ここでは僅差を得票差が1000票以内の場合とします。
第41回から第48回衆議院小選挙区選挙で当選者と次点候補者の得票数が1000票以下の選挙区数をグラフ化したものが下記になります。

図4

小選挙区は約300ありますが、僅差で当落が決まる選挙区も少なからずあることがわかります。これらの選挙区をひとつひとつ見ていくと、同じ選挙区で激戦が繰り返されていることも見て取れます。

そして政権交代選挙と言われた第45回衆議院選挙では、自由民主党のキャリアの長い候補者でも、僅差で選挙を通ったことも確認できます。キャリアのある議員でも、選挙前の世論の風向きと強さで、選挙に通るかどうか微妙であるという状況になることがわかります。

これらの僅差で当選者が決まる選挙区を見ていると、投票する人があと1万人多かったら選挙結果に変化が出ていたかもしれませんし、その選挙結果の変化によりその後の国の政策等になんらかの違いが生じたのかもしれません。

選挙でどこに投票をしても結果が変わらないことを理由に投票を棄権する人もおられますが、2020年から続く新型コロナウィルスに対する各都道府県の知事の対応を見ると、知事ごとに対応が大きく異なることがわかります。誰をトップにするかで、自身の生命や経済状況を大きく左右する可能性があることがわかったことと思います。

これは国政選挙においても同様で、どの政党に、候補者に投票をするのかで、新型コロナウィルス感染症対策のみならず、今後、国、地方でさまざまな事態に直面した際の対応力に大きな違いが出ることが予想されます。

そのような事態に遭遇した際に、人目をひくスローガンの呼びかけだけに終始し、権限は行使するが責任をあいまいにする政治家ではなく、目立たないけれども、言葉と行動に責任を持ち、各種情報等が公開され、それらの情報を共通の土台とした、議論が成り立つ政治家が国民には必要となります。

自分の1票で大きく物事は変化しないということが言われたりしますが、これまで見てきたように僅差で勝負が決まる選挙区もあります。2020年からの新型コロナウィルス対策等や、その他の各政党の行動、議員の発言等を思い返しながら、投票所に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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