伝統の神楽 衣装を新調 柏崎・矢田、地域おこし協力隊員が助言

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地域おこし協力隊が、これまでの衣装(左)に代わり、新しい衣装(右)を考案した=柏崎市矢田

 新潟県柏崎市矢田地区で約100年続く祭りの衣装が新調された。集落から依頼を受けた地域おこし協力隊員が、住民と協力し、きれいな光沢のある布で作り上げた。秋祭りで住民にお披露目された衣装は今後、地域の伝統となって受け継がれていく。

 矢田地区では、無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を願い、春と秋に祭りが行われている。名物は、てんぐやキツネの面を身に着けた住民が地区を練り歩く神楽。協力隊員の山田華緒李(かおり)さん(26)が、祭りを主催する地元の矢田長寿会から「古くなった衣装を新調したい」と相談を受け、5月に作業を始めた。

 山田さんは、金沢美術工芸大(金沢市)で中国の少数民族の染め物文化について学んだ。新しい衣装の素材には、現地で民族衣装に用いられる染め物「亮布(リャンプー)」を選んだ。「リャンプーも100年近い歴史がある。リャンプーのように、神楽の衣装を次世代に引き継いでいけるようにしたかった」と説明する。

 手始めに地区の全76世帯に、衣装作りの協力を呼び掛けるチラシを配った。リャンプーを作るには、藍で染めた綿布に、にかわと卵白を混ぜた液を塗っていく。その後、木づちでたたく作業を繰り返すと、赤紫色でつるつるした肌触りと光沢のある布になる。住民から木づちや染色作業で使う道具の提供を受け、協力して作業を進めた。

 出来上がった布は、縫製業の経験がある住民と協力して衣装に仕立てた。総勢約60人が関わり、9月に完成。山田さんは「たくさんの地域の人が協力してくれたおかげ。鮮やかで、きれいな色の衣装ができた」と自信を見せる。

 本来は春祭りで舞われる神楽だが、衣装の完成を祝って10月上旬の秋祭りで特別に披露された。新しい衣装をまとった住民が、地区の6集落を約3時間かけて回ると、住民らが「光に当たるとキラキラして見える」「きれいだね」などと出来栄えに満足そうだった。

 矢田長寿会の長谷川学会長(72)は「とてもよくできている。使うたびに布もなじんで良くなるだろう。毎年使うのが楽しみだ」と喜ぶ。山田さんは「地区に住む人たちが協力して作った衣装として、神楽とともに引き継がれていってほしい」と話した。