11月3日「文化の日」は入場無料。全国10の美術館・文化施設をピックアップ

「自由と平和を愛し、文化をすすめる」を主旨に、1948年に制定されたのが11月3日「文化の日」。この祝日には、国内の一部美術館や文化施設でコレクション展を中心とした入場料が無料に。これまで訪れたことのない美術館や文化施設を訪れるきっかけの機会にしてほしい。

北陸エリア

◎国立工芸館
東京・竹橋の「東京国立近代美術館工芸館」を前身に2020年、石川県金沢市に開館した国立工芸館。ここで12月12日まで開催中の国立工芸館石川移転開館1周年記念展「《十二の鷹》と明治の工芸―万博出品時代から今日まで 変わりゆく姿」は文化の日に入場無料に。
明治以降の工芸作品約100点が集まる本展の見どころは、なんと言っても明治の名工で帝室技芸員に任命された鈴木長吉(1848‐1919)が制作の指揮をとり完成させた大作《十二の鷹》。発表当時の姿で展示されるのは北陸地域では初の機会となる。社会全体が大きな変化の波に揺れ動いた明治時代の、工芸家たちのヒューマン・ストーリーを堪能できる展覧会だ。なお、入館できる人数には制限があるため、美術館を訪ねる前にはオンラインでの事前予約(無料)がおすすめ。
住所:石川県金沢市出羽町3-2
https://www.momat.go.jp/cg/

◎兼六園
金沢の観光名所として外せないのは、日本三名園のひとつに数えられる庭園「兼六園」。その魅力や歴史の理解を深めるため、毎年文化の日に無料開園を行ってきた。江戸時代の代表的な大名庭園として、加賀歴代藩主により長い歳月をかけて形づくられてきた兼六園は、廻遊式の要素を取り入れながら、様々な時代の庭園手法が駆使されている。庭のなかに大きな池や築山あり、御亭や茶屋が点在し、広々とした敷地内では各所に立ち寄りながら庭全体を遊覧できる。
住所:石川県金沢市兼六町1
http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kenrokuen/

国立工芸館 出典:Wikimedia Commons(J o)
兼六園 出典:Wikimedia Commons(BehBeh)

東京・関東エリア

◎国立科学博物館
国立科学博物館は様々な分野の研究者、数多くの標本資料、膨大な研究成果を蓄積する国立では唯一の総合科学博物館。自然と科学技術に親しむことのできるこのスポットは、文化の日に常設展が入場無料になる。常設展は日本館、地球館に分かれており、日本館では恐竜やアンモナイトの化石や、日本最古の地震計であるミルン水平振子地震計(重要文化財)のほか、忠犬ハチ公の剥製も。地球館ではニホンオオカミ、ジャイアントパンダの剥製や、猿人、原人、旧人の地球の多様な生き物の関わり合いを知るコーナーもあり、1日かけて楽しめる。事前の入館予約をお忘れなく。
住所:東京都台東区上野公園7-20
https://www.kahaku.go.jp/

◎印刷博物館
印刷博物館は、現存する世界最古の印刷物と言われる「百万塔陀羅尼」をはじめ、古今東西の印刷物や活字、道具、機械約7万点のコレクションの中から約300点が展示される博物館。コレクションは日本の書物、西洋の書物、版画とポスター、印刷道具と機械などのセクションからなり、ひとえに「印刷」と言っても多彩な歴史的・文化的価値の高い資料が集まる。現在開催中の企画展は「現代日本のパッケージ2021」。日本で開催されている大規模なパッケージコンクールの受賞作を通して、地球環境などの社会問題、時代のニーズや今後想定される解決すべき課題に対する取り組みを紹介する。要事前入館予約。
住所:東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川ビル
https://www.printing-museum.org

◎千葉県立美術館
文化の日、千葉県立美術館・博物館は入場無料に。千葉県ゆかりの美術資料を中心として体系的に収集、保管する千葉県立美術館では、「漆黒のモダン 漆芸家 佐治賢使」展を開催。コレクション展は「名品4 -ルノワールと女性をめぐるイメージ-」。
住所:千葉県千葉市中央区中央港1-10-1
http://www2.chiba-muse.or.jp/ART/

国立科学博物館 出典:Wikimedia Commons(Kestrel)

関西エリア

◎国立国際美術館
大阪の美術館で現代アートを見るなら、まず訪れたいのが国立国際美術館。同館には、年に数日コレクション展の無料観覧日があるが、文化の日もそのうちの1日。当日は、「コレクション 1 : 1968年展 −新しいパラダイムを求めて−」を鑑賞できる。1960年代後半を社会と美術の転換点としてとらえ、およそ半世紀を経た今日の視点から戦後日本の美術動向を、所蔵作品によって3つのカテゴリーに分類して紹介。海外における同時代の動向を顕す作品群も併せて展示される。
参加作家は安齊重男、榎倉康二、岡本信治郎、郭仁植、工藤哲巳、グループGUN、クロード・ヴィアラ、桑山忠明、小清水漸、関根伸夫、高松次郎、田中信太郎、田畑あきら子、成田克彦、プレイ、堀川紀夫、マイケル・ハイザー、三木富雄、吉田克朗、李禹煥、ルイ・カーヌ、ロバート・スミッソン。
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
https://www.nmao.go.jp

◎芦屋市立美術博物館
地元ゆかりの「具体美術協会」の作品を多数所蔵することで知られる芦屋市立美術博物館。文化の日には、コレクション展「絵画はつづく、今日にむかって」が入場無料になる。様々なコレクションのなかから絵画だけに向き合う本展は、約1470点から選りすぐった絵画作品約80点を展示し、若き日の画家が観察眼と描写力を鍛えたデッサンやスケッチ、下絵なども紹介。描くことを多角的にとらえる。
出品作家は青山洋子、飯島一次、伊藤継郎、井上覺造、上前智祐、浮田要三、江見佳彦、大植基正、大橋エレナ、大橋了介、小野田實、片岡真太郎、金山明、川崎ヒロ子、菅野聖子、木梨アイネ、国枝金三、黒田重太郎、小磯良平、小出卓二、小出楢重、嶋本昭三、白髪一雄、白髪富士子、菅井汲、関根美夫、田井智、田中敦子ら。
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12−25
https://ashiya-museum.jp

◎京都国立近代美術館
街のそこかしこに文化と歴史の厚みを感じることのできる京都では、文化の日に京都国立近代美術館のコレクション展を無料観覧できる。文化の日当日には「2021年度 第3回コレクション展」が開催中。ウジェーヌ・ブーダン、アルフレッド・シスレー、ポール・シニャック、アルベール・マルケらによる様々な船が停泊する水辺の風景にフォーカスするコーナー、写真コレクションのコーナー、明治の工芸品が集まるコーナーなど、多彩なラインアップが魅力。なお、11月には文化の日以外にも何日かの無料観覧日があるため、カレンダーをチェックしてほしい。
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
https://www.momak.go.jp

芦屋市立美術博物館 出典:Wikimedia Commons(663highland)

九州・沖縄エリア

◎福岡市博物館
福岡市博物館では企画展、常設展ともに無料で鑑賞できる。12月5日まで開催中の企画展は、DCの特別総合展となる「DC展 スーパーヒーローの誕生」。貴重な初期のコミックや設定資料、映画の衣装や小道具など500点以上を一挙に展示し、「スーパーヒーロー」と「スーパーヴィラン」をはじめとした魅力的なDCのキャラクターたちと、その舞台となる物語を作り続けるDCの80年以上の歴史とその魅力に迫る。常設展では、アジア諸地域との人・もの・文化の交流がもたらした特色ある歴史と、その歴史が育んだ人々の暮らしを11のコーナーを通して紹介。
住所:福岡県福岡市早良区百道浜3-1-1
http://museum.city.fukuoka.jp

◎沖縄県立博物館・美術館
11月1日の琉球歴史文化の日と、3日の文化の日は博物館常設展と美術館コレクション展が無料になる、沖縄県立博物館・美術館。博物館の常設展は総合展示と部門展示で構成され、総合展示では港川人などのヒトの登場から貝塚を形成した古代から、独特の文化を創造してきた琉球王国の時代、王国解体後の近代、多くの人と物を失った沖縄戦から現代、そして未来の沖縄まで、過去から未来へと沖縄の歴史の旅へと誘う。美術館のコレクション展では、沖縄県出身または同地にゆかりのあるアーティストおよびアジア諸国の近代美術作品を中心に収集・展示。県内外のアーティストによる沖縄をテーマにした作品や沖縄系移民アーティストの魅力に触れることができる。
住所:沖縄県那覇市おもろまち3-1-1
https://okimu.jp

沖縄県立博物館・美術館 出典:Wikimedia Commons(Hanabi123)

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