吉川晃司「FOREVER ROAD」難しい90年代に信念を貫いた「度胸の据わった自信作」

吉川晃司は"信念の人"

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シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』。10月20日は、広島・RCCラジオのみでの放送とあって、広島出身の吉川晃司の曲を厚めに選曲しました。(文中敬称略)

その吉川晃司に行く前に、この曲への御託を。M17「雨の西麻布/とんねるず」

松崎:みなさまご存じ、秋元康・見岳 章コンビですね。この曲をこのコンビで作って、美空ひばりの「川の流れのように」も作ってるわけですよ。もしかしたら「川の流れのように」パロディ(ソング)なんじゃねぇ?って疑いが、たまに脳裏をかすめるんですが、いやいやそんなことはないと思い直してますけど。だけど、やはり最先端のニューウェーブを日本でもやりたかった人ですからね。それが上手く認められなかったことに対してのリベンジというか、「絶対に音楽業界で成功してやる」という気持ちが、見岳には強かったんじゃないかと思います。

松崎:そのことが「雨の西麻布」をよく聴くと、バックコーラスの音の積み方とか、ギタリストに対する注文の付け方とかが、本物をもの凄くよくわかって研究して(曲を)作っていることが良くわかりますものね。これ、おちゃらけたら面白くないんですよ。とんねるずの2人はおちゃらけてもいいんだけど、バックが本格的であるほど、パロディがパロディとして成立するというわけです。

そして、いよいよ吉川晃司の特集へと進みます。

90年代に吉川晃司が発表したアルバム群

M22「FOREVER ROAD/吉川晃司」

松崎:これがアルバムの1曲目なんですよね。だから疾走感のアルバムではないってことを最初から宣言してしまっているわけで、なかなか度胸の据わった、ある意味、自信作だったんじゃないかと思いますね。ただ、この時期、自分も忙しくて音楽業界の直中にいたので良く覚えているんですが、90年代の94年・95年・96年とかは、すごく難しかったんですよ。要は、音楽業界が割と「beingと言ったら全部、being」「小室サウンドと言ったらみんな、小室サウンド」みたいな感じで、わーわーと民族大移動が起こって、それ以外の人、ブランドを守り続けている人が、なかなか評価されない難しい時代だったんです、いいものを作っているかどうかに関わらず。

松崎:そこでモノを作り続ける、しかもある程度のバジェット=予算をかけて作り続けるのは大変なこと。例え、吉川晃司のようなスターでも大変なことだったと思うんですけど、やはり今回、90年代に作られたアルバム群を見ますと、けっこうな枚数ですし、やっぱり信念の人だなと思いましたね。

文中の写真が、その吉川晃司の90年代に発表したアルバム群です。STVラジオの音楽資料室で事実上のお蔵入りになっていたものを発掘して、今回の企画が成立しました。もう、圧倒的という形容詞もあてはまります。ちなみに、1990年代中頃の"難しさ"は、平井堅がことし発売した「1995」という曲の中で、多少の皮肉を込めて、上手く歌っています。

<松崎真人の編集後記>
「Nobody’s Perfect/吉川晃司」 デビット・ボウイを彷彿させる低音の豊かな響き。この曲を聴きながらあらためて写真で吉川晃司の骨格を観察すると、しっかりとした下あごを持ち、歌うとき軟口蓋に向かって理想的な角度で声が当たっているのだろうなあ、と思う。よく物まねされる初期の特徴はあくまで装飾的なもので(しかもビートを立てるために工夫した結果)本質的には咽喉に無理をかけない理想的な発声なんだと思う。(松崎真人)

<10月20日のプレイリスト>
M01「LOVE 涙色/松浦亜弥」
M02「ジャングル・スウィング/山下達郎」
M03「キャンドルの瞳/吉川晃司」
M04「PS. I LOVE YOU/PINK SAPPHIRE」
M05「恋の暴走/西城秀樹」
M06「危い土曜日/キャンディーズ」(FINAL CARNIVAL PLUS ONE)
M07「自由に歩いて愛して/PYG」
M08「一日だけの恋/アウト・キャスト」
M09「ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ/鹿取洋子」
M10「横浜ホンキートンク・ブルース/原田芳雄」

M11「RED/B’z」
M12「楓/スピッツ」
M13「グラマラス・ライフ/シーラ・E」
M14「桜/はたけやま裕」
M15「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶/桑田佳祐」
M16「好きよキャプテン/ザ・リリーズ」
M17「雨の西麻布/とんねるず」
M18「Blue Moon Stone/チェッカーズ」
M19「世界の終わり/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」
M20「BE MY BABY/COMPLEX」

M21「KISSに撃たれて眠りたい/吉川晃司」
M22「FOREVER ROAD/吉川晃司」
M23「マシマロ/奥田民生」
M24「名前のない空を見上げて/MISIA」
M25「Nobody’s Perfect/吉川晃司」
M26「モニカ/吉川晃司」
M27「海へ来なさい/井上陽水」

22日はSTVラジオ限定

『MUSIC☆J』は、いよいよ10月26日(火)から、シーズン6の本格的スタートとなります。STVラジオとRCCラジオ同時ネットで、毎週・火曜~金曜 19:00~22:00(RCCラジオは21:50まで)でお送りします。

10月22日(金)は『ナイタースペシャル MUSIC☆J』として、STVラジオで17:55~21:00の特別プログラムをお送りします。21:00からの『リアルタイム』でも、夏のナイタースペシャルのような企画があるかも…?。

STVラジオ『MUSIC☆J』(10月26日から毎週・火~金 19:00~22:00)

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MUSIC☆J

放送局:STVラジオ 他1局ネット

放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。

出演者:松崎真人:(まつざき・まこと)シンガーソングライター、選曲家(北海道出身)。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活動。

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70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。

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