荒磯親方が経験した大怪我には「一片の悔いあり」

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東海ラジオ『荒磯親方 横綱人生道』(月19:00~19:15)は、第72代横綱・元稀勢の里の荒磯親方が、相撲道で培った人生観、さらに幅広く、横綱の人生道を大いに語る番組。10月18日の放送では、リスナーからの質問に答えて「力士と怪我」について語った。

リスナーからの質問は「荒磯親方も、現役時代、腕の怪我で苦しんだと思う。引退を決めた白鵬関や横綱・照ノ富士関を始め、現役力士も怪我と向き合いながら、相撲を取っている。しかし、あれだけ激しい稽古や取り組みを続ける中で、怪我を完治させるのは、なかなか難しいのではないか。怪我をした箇所を庇うために、その周囲を鍛えたり、新しい技を取得したりして、何とか出場している感じなのだろうか。満身創痍の体と、どう向き合って、相撲を取っていくのか」という内容。

これに対し荒磯親方は「すごくいい質問」と感心し「あれだけ大きな体と体がぶつかるのだから、怪我は付き物」と言った後、自身の怪我について話し始めた。「17歳の頃に左の手首を骨折した。その腕がまだ折れたまま。誰にも言わなかったが、腕をついて立ち上がるのも痛いぐらい。しっかりテーピングで固めて(手首に負担が少ない)押っつけの形をとることで、押っつけが強くなった。これは怪我の功名」と明かした。

しかし、荒磯親方は、新横綱の場所で、左の大胸筋と上腕二頭筋の部分断裂と、左腕から胸にかけて大怪我を負った。左腕がほとんど動かない状態だったという。荒磯親方は、この大怪我について「筋肉系、特に体の胴体にある部分の怪我というのは、治りにくいし、体にも負担がかかる。大胸筋断裂のときには、ある一定の位置でしか力が出なかった」と振り返った。

大怪我をした翌場所も出場したことについて、荒磯親方は「力がすごく出る瞬間があった。稽古場でも力が戻ってきた。治療がうまくいき、自分の中では、場所に間に合ったと思ったが、やはり、稽古場と本場所とでは違うことを痛感した。稽古場では普通の相撲が取れていても、本場所では、微妙な数センチのズレというか、その瞬間にやられてしまうことがあった。そのずれがだんだんと大きくなっていった。毎場所毎場所そんな感じだった」。

さすがに怪我の功名という形には持っていけず、復活できなかったことについては「自分の中の左腕というのが、自分の完全なエンジンとなっていたので、自分は復活できなかったが、照ノ富士を見ると、自分は怪我をして引退したので、怪我の怖さを十分に知っている。どうにもならない自分がいた。照ノ富士は、どうにかなっているし、また、強くなって帰ってきた。どんな肉体をしているのか。どんな精神力なのか、聞いてみたいと思うぐらい」と、照ノ富士の復活を高く評価していた。

引退会見の時には「一片の悔いもなし」と言った荒磯親方だが、引退を決意する原因となった怪我については「一片の食いありかなあ。弟子には絶対に怪我をさせない。怪我をさせないというのが荒磯部屋の理念」と改めて誓っていた。

荒磯親方 横綱人生道

放送局:東海ラジオ

放送日時:毎週月曜 19時00分~19時15分

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※放送情報は変更となる場合があります。

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