史上4人目の“新人3割&20発”確実 それでもDeNA牧秀悟が試合に出続けるワケ

DeNA・牧秀悟【写真:荒川祐史】

23日の中日戦で4打数4安打2打点と大暴れ

■DeNA 5ー0 中日(23日・横浜)

DeNAのドラフト2位ルーキー・牧秀悟内野手は23日、本拠地・横浜スタジアムで行われた中日戦で、4打数4安打2打点と大暴れした。今季の打率を.308に押し上げ、残る2試合で10打数無安打に終わっても、打率は3割以上(.302)に。既に22本塁打を放っており、1958年の長嶋茂雄氏(巨人)、1981年の石毛宏典氏(西武)、1986年の清原和博氏(同)に続く史上4人目の“新人3割&20発”の快挙を確実にした。

2回先頭で迎えた第1打席は、先発右腕・清水が投じた146キロの外角速球を逆らわずに右前へ。3回2死一、二塁の第2打席は、清水のフォークが真ん中高めに浮いたところをとらえ、先制の左前適時打を生み出した。中日のドラフト2位・森との新人対決となった5回1死一塁では三塁線を破る二塁打。7回無死二塁では、左腕・岡田から再び三塁線を破る適時二塁打を放った。チームの5-0の快勝にも大きく貢献したのだった。

シーズン最終盤を迎え、牧は連日記録づくめになっている。既に数々の球団新人記録を更新し、その段階は通過。この日は今季4度目の1試合4安打でセ・リーグ新人記録を塗り替えた。猛打賞(3安打以上)は今季13度目で、こちらは長嶋氏が保持する14度のプロ野球新人記録にリーチをかけた。試合後のお立ち台で「最初から、新人の時にしかできない記録はどんどん超えていきたいと思っていたので、うれしいです」と力強くうなずき、三浦大輔監督は「もう凄いとしか言いようがない。逆に皆さん(報道陣)に、今日は何を更新したのかと聞きたい」と苦笑だった。

三浦監督「本人が3割どうこうよりも試合に出たいと」

オースティンの戦線離脱を受けて、10月6日の阪神戦から4番に座り続けている。重圧に苦しむどころか、当初.287だった打率をグングン上げ、19日の巨人戦で3割の大台に乗せた。既にシーズンの規定打席はクリアしていたことから、3割キープのために残り試合を欠場する選択肢もあったが、その後も出続けている。

三浦監督は「本人が3割どうこうよりも試合に出たいと言っているので」と説明する。牧自身が「4番に座らせてもらっているので、なんとか仕事をしたいと思っています」と語っている通り、チームの中軸を任された責任感が背中を押すのだろう。

また、特に目立つのは、この日も2本放った二塁打の数だ。今季32本に上り、1998年の高橋由伸氏(巨人)に並ぶ新人歴代2位タイ。最多の長嶋氏の「34」にもあと2と迫った。三浦監督は「足はめちゃめちゃ速いわけではないが、それなりに走れること、コースに逆らわず広角に打てること、そして打球が速くて外野手の間を抜けていくことが、二塁打が多い理由かなと思います」と語った。

様々な新人記録で、「ミスタープロ野球」の異名を取った長嶋氏に迫る牧。ゆくゆくは、どんなタイプの“ミスター”になっていくのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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