宮城5区、共闘網に切り込む落下傘 6区、1次産業票巡り主張交錯

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■論戦攻防 宮城・選挙区ルポ(下)

[5区]

 雄弁な語り口の端々に8選を重ねた実績と自負がのぞく。
 「政治のよどみを排除するには政権交代しかない。私に任せてほしい」。公示日の19日、立憲民主党前議員の安住淳は、大郷町の道の駅でビールケースの上に立ち、拳を突き上げた。
 東日本大震災で被災した沿岸部や農村部を抱える選挙区に序盤の2日間入り、街頭演説は23カ所に及んだ。旧民主党政権で財務相を務めた震災当時に触れ「がれき撤去から始まった復興の歩みを知らない人にこの地を託せるはずがない」と相手候補をけん制した。
 区割り変更で前回加わった松島、大郷、南三陸3町にも後援組織を設置。念願だった野党共闘態勢も敷き、票の上積みを狙う。他候補の応援で全国を回り、選挙戦最後の選挙区入りは26日の予定。あるじ不在の中、後援者らが支持者回りを重ね、票固めを図る。
 21日、女川町中心部のテナント型商店街。「今回はしっかりとした女性候補です」。町長の須田善明から太鼓判を押された自民党新人の森下千里は「皆さんと前進していきたい」と強調。1600回を超えるつじ立ちで日焼けした顔を引き締め、支持者ら約50人とグータッチを重ねた。
 政治経験ゼロの森下は宮城とは縁遠い「落下傘候補」。引退したタレント時代の活躍を知る有権者は多くはない。ハンディ克服を草の根戦術に懸ける。
 公示後2日間は内陸部の大崎市から震災の津波で被災した沿岸部まで選挙区をほぼ一巡。中盤は首長や地元議員との連動に軸足を移し、各自治体や党の支部組織を丹念に回る。
 終盤は党政調会長の高市早苗ら党幹部らのてこ入れを受ける予定。連日更新する会員制交流サイト(SNS)の投稿と併せ、若者や無党派層への浸透を狙う。

◇宮城5区立候補者
安住  淳 59歳 党国対委員長 立前⑧
森下 千里 40歳 元会社代表  自新(公推)

[6区]

 「大臣に選ばれなくて本当に良かった」。公示日の19日、故郷・気仙沼市に戻った自民党前議員小野寺五典は街頭演説の冒頭で笑いを誘った。
 一転、真顔になって真意を説いた。「今、私がやるのは(国より)古里のための仕事だ」。東日本大震災の被災地は新型コロナウイルス禍で二重の苦しみにあるとの危機感を示す。
 防衛相だった前回(2017年)は北朝鮮情勢対応に追われ地元入りできなかった。挽回するかのように、各地域の後援会組織に導かれて広い選挙区の田園地帯や集落を丹念に回る。
 序盤は米どころの内陸部に軸足を置いた。コロナ禍で地元の農業は米価下落に苦しむ。価格安定へ党が打ち出す過剰米の長期保管などの対策を強調し、農家の票固めを図る。
 選挙戦後半は全国応援で不在がちになるため、陣営は気を引き締める。
 共産党新人の内藤隆司は23日、農業地帯の大崎市古川で個人演説会を開いた。「米価下落に政府は有効な手だてを講じていない」。約40人の支持者を前に批判のボルテージを上げた。
 「野党連合政権が樹立されれば戸別所得補償を復活できる」と主張。東京電力福島第1原発事故によって発生した処理水の海洋放出に反対する姿勢も鮮明にし、第1次産業に最大限配慮する姿勢をにじませた。
 6区で初の野党共闘が成立したとして立憲民主党の支持者や無党派層へのアピールに懸命だ。共産の地方議員と連動して各地で街頭演説をこなし、2巡目に入っている。
 個人演説会も各地で行い、26日は古川中心部で共産党の書記局長小池晃と合同で街頭演説をする。28日は党参院議員の岩渕友と一緒に気仙沼市を回る予定で、小野寺の固い地盤に食い込みを図る。
(敬称略)

◇宮城6区立候補者
小野寺五典 61歳 元防衛相 自前⑦(公推)
内藤 隆司 63歳 元県議  共新