10年が経つと明暗クッキリ… 2011年ドラフトの成果と直後の“評価”を検証

巨人・菅野智之(左)と四国L愛媛・伊藤隼太【写真:荒川祐史、喜岡桜】

藤岡、菅野、野村の大学生投手「BIG3」と高橋が注目を集めたドラフト

11日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supporetd by リポビタンD」では支配下で77人、育成51人が指名を受けた。また、新たにプロ野球の世界に飛び込む選手たち。このドラフトの真の成果が分かるのは、5年、10年が経ってからだろう。では、今からちょうど10年前の2011年に行われたドラフトの成果は、10年が経過してどう出ているのだろうか。

【表】10年が経つと明暗クッキリ… 2011年各球団ドラフト指名選手一覧

2011年のドラフトは東洋大の藤岡貴裕、東海大の菅野智之、明大の野村祐輔と大学生投手の「BIG3」と、東海大甲府高の高橋周平が注目を集めていた。3球団が競合した藤岡はロッテが交渉権を獲得、同じく3球団競合の高橋は中日が交渉権を得てそれぞれ入団。菅野は巨人と日本ハムが競合し、日本ハムが抽選で交渉権を得たものの、入団せず。野村は広島が一本釣りした。

この年のドラフトで高く評価されていたのはロッテ、ソフトバンク、中日、日本ハムあたり。逆に辛口の評価を下されていたのは横浜やヤクルト、巨人だった。ロッテは藤岡が1位で入団しただけでなく、2位で中後悠平、3位で鈴木大地(現楽天)、4位で益田直也が加入。藤岡はなかなか期待に添えなかったものの、鈴木や益田は現在も第一線で活躍。なかなかの“当たり年”だったと言えるだろう。

ソフトバンクは武田翔太が1年目に8勝、2015年と2016年には2年連続で2桁勝利をマークし、5位の嘉弥真新也も左キラーとして活躍。中日も高橋がレギュラーに成長し、田島も中継ぎとして貢献している。菅野は入団しなかった日本ハムだが、2位の松本剛、4位の近藤健介、6位の上沢直之と“当たり年”だった。

阪神は伊藤和が戦力外通告を受けて全5選手がチームを去ることに…

横浜は藤岡、松本竜也を抽選で外して外れ外れ1位で北方悠誠を指名したものの、わずか3年で戦力外に。ただ、4位の桑原将志が外野手のレギュラーに成長し、一定の成果も。ヤクルトは1位の川上竜平が1軍出場のないまま、2016年オフに戦力外になるなど、2018年オフまでに全7選手がチームを去っている。

巨人は外れ1位で入団した松本が不祥事もあり、2015年オフに失格処分に。2位の今村信貴は先発として、4位の高木京介、7位の田原誠次(2020年オフに戦力外)は中継ぎとして1軍の戦力になったものの、大きな成果があったとは言い難いか。オリックスは1位の安達了一、3位の佐藤達也が活躍。西武は1位の十亀剣が2015年に11勝をマークするなど、今も第一線でプレーしている。

その他の球団で見ると、楽天は4位で岡島豪郎、6位で島内宏明が加入。広島は1位の野村、2位の菊池涼介がタイトルを獲得している。逆に阪神は1位の伊藤隼太をはじめ、5選手を指名したが、チームの中心にはなれず。このオフに伊藤和雄が戦力外通告となり、ヤクルトに続き、指名選手全員がチームを去ることになる。

こうやって見てみると、ドラフト後の“評価”は必ずしも、その通りにはならないことが分かる。それだけドラフトとは難しいものということ。10年が経ってみると、球団ごとの明暗がハッキリで現れてくると言えるのではないだろうか。(Full-Count編集部)

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