自力更生はいかにして貫徹されたか、現場の声をきく 建設資材を生産する企業を訪ねて

コロナ禍の中でも朝鮮の自力更生路線はあらゆる部門で貫徹されている。

現在、平壌では年末までの完工を目指して1万世帯住宅建設が進められているが、そこで使われている資材は国産だ。「鋼鉄とタイルは自力更生で十分だ」という。

ぼう大な住宅建設を支えている生産拠点、平壌市近郊の南浦市に位置する千里馬タイル工場、千里馬製鋼連合企業所を訪ねた。

千里馬タイル工場は、燃料から原料、製品に至るまで徹底して国産化を推進している。

千里馬タイル工場の生産工程の一部(C)朝鮮新報

燃料は国内に豊富な無煙炭をガス化してタイル生産に必要なエネルギーを確保している。

国産化における最大の課題は原料の確保だ。

キム・グァンナム技師長(51)によると、工場では年間数十万トンの原料を要する。原料を生産・保障する企業は複数あるものの年間数十万トンの鉱物を適時に十分に確保するのは容易ではない。粘土、白土、石灰石、大理石をはじめ生産に要する原料は全国各地に分散しており、埋蔵量も地域ごとに限られている。

同工場では、原料生産企業と協力して鉱物生産を保障することを重要な経営戦略の一つとして掲げている。

昨年の初め、工場では一部の原料が枯渇する危機に直面した。原料生産企業では何度も鉱物の探査を行ったが、不利な条件が多く思うような成果を得られなかった。

そこで工場では自ら探査チームを組織して、原料生産企業を直接手伝うことを決めた。キム技師長は、「当初先方は、タイル生産を専門とする工場の労働者たちが鉱物探査を手伝ったところで時間だけ浪費するのではないかと半信半疑だった。だがわれわれは研究機関に赴き、文献を読み込んで探査に関する技術、知識習得に励んだ」と振り返る。

万全を期して探査を行った結果、原料として利用できる鉱物埋葬地を探し出した。このような努力に基づいて、工場では今年もタイル生産に要する原料を十分に確保できているという。

タイル製品を満載した倉庫(C)朝鮮新報

千里馬製鋼連合企業所は、1950年代社会主義建設の新たな高揚をもたらした大衆生産運動である「千里馬運動」の発祥地とされる。

工場には現在もその矜持が息づく。工場では今年上半期、平壌市1万世帯住宅建設に必要な鉄鋼材生産計画を完遂した。

鋼鉄生産で用いられる連続造塊設備に電磁気誘導かくはん装置(炉内の全容湯をきわめて短時間に均一にかくはんできる装置)を導入し、高い実利を生んでいるという。

新たな技術を導入した連続造塊設備で鋼材を生産するようす(C)朝鮮新報

超高電力電気炉を受け持つチャン・チョルリョンさん(46)は、「数年前までは自動車やトラクター生産をはじめ経済の多くの分野で要する鋼鉄の一種を十分に生産できなかった。鋳造(金属材料を高温で溶解させ、鋳型に流し込み固めることで目的の形状にする金属加工方法)の工程に不備があり、これを克服するためには電磁気誘導かくはん装置を導入する必要があった」と話す。

自力で開発に成功した結果、現在はベアリング鋼、ワイヤーロープなど機械工場で要する種々の鋼鉄を十分に生産できるようになったという。

新技術で生産した鋼材(C)朝鮮新報

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