【寄稿】コロナ禍と総選挙(WEB版)/POKKA吉田 POKKA吉田のネタは今でも手回収

10月14日に衆議院が解散され19日に公示、31日に投開票の予定で総選挙が実施される予定だ。本紙が発行される頃には総選挙も終わっているかもしれないが、9月末の岸田総裁誕生からするとかなり政治の流れははやい。

コロナ禍の推移も急変している。8月にはコロナ禍の中で最も新規感染者が急増していた。ピークは実質的には8月中旬頃に迎えており9月は激減ステージに入ってる。しかし、報道などを振り返るとわかるが、9月の前半くらいまでは新規感染者数が再び急増するということを警告するような物言いが医者を中心になされていた。

単純に「専門家」というものは、自身の専門分野のこと以外はわからないようである。医者の専門分野は「感染症の感染拡大推移の予測ではなく、単純に最も一般的なのは患者の治療」ということを改めて我々は再確認できた。もうひとつ言うと「(各種感染対策が)経済活動など社会に与える影響を予測することも分析することも能わない」ということ。また経済活動以外にも社会全体の行動を変えることに対するリスク把握がなっていない。昨年は長年続けてきた自殺者数減のトレンドが残念ながら増加に転じた。さらにいうと、こどもの自殺者数の件数が過去最悪になっていると報じられている。社会全体をコロナ禍を理由に恣意的に制限することでどのような影響が生じるか、少なくともこれらのことについて医者は責任を取ることはない。我々は医者の言うことに耳を傾ける程度を改めるべきだろう。

さて、コロナ禍の中とはいえ9月には新規感染者数激減ステージに入り10月は、たとえば東京都における新規感染者数の数がコロナ禍が始まって以来最低の数になってきた。ウィルス感染症ゆえに変異の可能性は常にあるしそのスピードもRNAウィルスだけにかなりはやい。変異の方向性によっては今後もまだまだ社会に甚大な影響を与える可能性はある。とはいえ、一年半以上続くコロナ禍が始まってからいくつもの変異株が入ってきたにもかかわらず8月後半から10月にかけて新規感染者数が激減していったのも事実だ。

普通に考えれば菅政権下でのワクチン政策が奏功したということになる。

政権は日本全体をどのように導くかを最重要視するものだ。しかし安倍政権から菅政権までずっと続いてきたことだが、政権のそのプライオリティは分科会など専門家の助言によって道筋が狂ってしまったように私は考えている。
たとえば昨年からずっと犯人扱いされてきた飲食営業。休業なり時短なり酒類提供なしなり、政府と各自治体はずっと要請をしてきたわけだ。その中で「補償を伴わない要請はありえない」という言説が昨年末頃から台頭した。それはそのとおりに違いなく、公費でいままでかなりの補償が支払われている。また、昨年は国民に一律金を配るということもやった。ざっくり1億人に10万円配ると10兆円。これだけでざっと日本の国家予算の一般会計の10%である。先ほども触れたが自殺者数推移が減少から増加のトレンドに反転してしまった。自殺者数増を防ぐために政府が10年単位で政策を積み上げてきた成果が、コロナ禍でチャラになってしまったわけだ。国家予算規模の金を払っているにもかかわらず、である。

武漢でロックダウンしていたのは昨年初頭。そしてそのころ中国では野戦病院のようなペースで患者を収容・治療できる施設を一気に建設していた。日本で野戦病院のような話が政策課題として台頭するのは今年になってから。菅首相(当時)が酸素ステーションの話をしだしてからである。

分科会など専門家が専門分野以外に甚大な影響を与える助言をすることについて、その責任は政府にある。政府は専門家ではないが(厚労省など役所には専門家もいるが)、その優先順位の社会性から政策提言の取捨選択は責任をもって担うことができる。安倍政権から菅政権までのコロナ禍においてその取捨選択は右往左往したからこそのたとえば自殺者数推移だったりするわけだが、今年のワクチン政策はおおむね評価されるべきだろう。

年配者向けの摂取は比較的問題はなかったようで、私の身内も普通に接種できた。ただしそれ以外の接種については政府の見込みが狂った部分もあって、接種券が届いても接種のための予約ができないという状況があちこちで散見されていた。この状況を打破していったのがおよそ8月になってから。私は7月までは自治体の予約がすべて失敗しており、8月上旬に大手町の大規模接種でようやく打つことができたわけだが、8月に入ってから自治体の予約に空きがでてきていることを確認している。気が付けば希望する人のほとんどが接種できるようになっており、大規模接種や自治体の予約、あるいは職域接種を地域に開放しているケースでも最近は空きが目立っているわけである。
ワクチンの種類やその効果については、それこそ開発した製薬会社や臨床のデータが示す専門性の高い話であるので私にはわからない。しかし、明らかに日本においてはワクチン接種が8月以降急ピッチで進んでおり、それにあわせて新規感染者数が激減している。いまでは報道番組に出てくる医者たちも「ワクチンの効果」を激減の理由に挙げることばかりである。

となると菅政権は右往左往したとはいえ、コロナ禍に対して政権末期においては正しかったということが言える。岸田政権は政権運営をする前に衆議院を解散するようなものだから総選挙における争点にコロナ禍が含まれるとして、それは肯定的な評価になっていくのが普通だろうか。

かくして一応は自公政権が維持されていくという見込みを持つことも可能だ。もちろん選挙はやってみなければわからないので断言はできないが、そういう分析が多いことも事実である。自公政権については問題も多であり必ずしも強材料だけではないが、野党側もそれは同じである。というか、野党が言うように国会での与野党の真剣な協議というのは少なかったのがコロナ禍でも続いていた事実だ。今年も通常国会を閉じたら岸田総理誕生まで国会を開かなかったのだから。ということで政府のコロナ対策は野党は一切関係がない。与党政権による手柄ということになる。

ぱちんこ業界においては、今は自公政権との関係が政治の中では最も重要である。ただし旧民主党系(立憲、国民など)には親ぱちんこ業界の議員が今もたくさんいることも事実だ。すなわち総選挙で自公が過半数を維持しても下野してもあまり影響はない、と言いたいところだが、少なくとも現・野党第一党の立憲については共産党と共闘して総選挙に挑む。共産党は少なくとも国政においては明らかに反ぱちんこ業界である。自公が下野することでぱちんこ業界にとって良いことはなく、悪い可能性はいくらも列挙できるような状態である。

選挙の結果はわからないが、今でもコロナ禍は日本社会を大きく狂わせているのだから、それを争点として自公が過半数を維持し、岸田政権が総選挙後に名実ともに始動していくことが望まれるのではないだろうか。これは純粋にぱちんこ業界視点での話である。私の個人的な思想信条とは関係ない話だ。

旧規則機撤去を控える中、政治に何かあるのは望ましくない。そのように私は考えているところだ。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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