私は女の子。男の子として生まれた少女と家族の“ゆずれない闘い”を追ったドキュメンタリー映画「リトル・ガール」が11月19日公開!

フランス北部、エーヌ県に住む少女・サシャ。
出生時、彼女に割り当てられた性別は“男性”だったが、2歳を過ぎた頃から自分は女の子であると訴えてきた。

ーーしかし、社会は彼女を他の子どもと同じように扱えない。学校では女の子としての登録が認められず、男子からも女子からも疎外され、バレエ教室では男の子の衣装を着せられる。7歳になってもありのままに生きられないサシャの自由を求め、家族の奮闘の日々が始まろうとしていた。

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家族のとった行動とは? ただ、女の子として生きることを夢見て…。

サシャが女の子であると訴え始めた当初、母・カリーヌは「なれないわ」と言葉を突きつけてしまったこと、そしてサシャが性別違和を抱えて生まれたことは「女の子の子どもが欲しい」と強く願った自分のせいだと罪悪感を抱えて生きてきた。

「おちんちんがついているのが嫌」
「子どもを産みたい」
小さいながらも心の内を打ち明けるサシャの真っ直ぐな気持ち、そしてある姿を目にしたことがきっかけでカリーヌは娘として受け入れ、どの場所にいてもありのままの彼女でいられるよう行動し始める。

さらに母・カリーヌだけでなく、父や姉弟たちも同様に“サシャはサシャ”と、彼女の自由を守るために献身的なサポートを惜しまない。

だけれど、彼女が彼女であることを受け入れてもらうために学校やバレエ教室など奔走し働き始めるが、目の前には決して一筋縄では行かない現実が立ちはだかるーー。

大人のエゴから子どもたちの純粋なアイデンティティをどう守っていくか。

大好きなワンピースにミニーちゃんのリュック姿がお似合いのサシャは、登校する際はスカート以外の洋服に身をつつみ、好みではないリュックを背負い校門をくぐる。

7歳の少女であれば当たり前に享受されるであろう自由は、サシャを「女の子として認めない」学校の対応により奪われている。性別違和を抱える彼女にとって、自分らしい姿でいられないこと自体が苦痛であると想像できず、保身に走る学校長や担任の先生たち……。

そんな周りの大人たちを見習い成長する年頃のクラスメイトたちへの影響は大きく、「仲良くしてくれる女の子の友達がいるけどクラスメイトの男の子、女の子問わず拒まれている」。そんな現状をサシャ自身の口からカウンセラーへと告げる瞬間は見るに堪えない残酷なシーンだ。

決してフィクションではなく、今この現代を生きる10歳にも満たない女の子に起きていることなのだ。母親を心配させまいと、自身に起きた悲しい出来事も怒りを覚えるような出来事も口にしない彼女が静かにあふれ出た気持ちとともに流した涙は、観た人全ての心に残り続けるだろう。

家族の喜びの瞬間、直面する多くの課題を捉えた、幼少期のトランス・アイデンティティに対する認知と受容を喚起する貴重なドキュメンタリーをぜひ劇場で確かめてほしい。

◆ リトル・ガール
2021年11月19日(金)より、新宿武蔵野館他全国ロードショー
https://senlisfilms.jp/littlegirl/

配給:サンリスフィルム
©️AGAT FILMS & CIE- ARTE France – Final Cut For real-2020
記事制作/newTOKYO

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