ソフトバンクが最終戦に20安打15得点の爆勝 工藤監督に有終の白星届ける

孫オーナー(右)から花束を贈呈された工藤監督(東スポWeb)

名将のラストゲームは「強さ」を誇示する勝ち方だった。ソフトバンクは25日、今季最終戦のロッテ戦(ZOZOマリン)に15―7の大勝。攻撃陣が143試合目にして、ともに今季最多となる20安打、15得点をマークした。投げてはエース・千賀が6年連続2桁勝利となる10勝目。優勝争い真っただ中のロッテに「王者」の意地を見せつけた。

8年ぶりのBクラスが確定した23日の楽天戦後、今季限りで辞任する工藤公康監督(58)は選手・スタッフに直接「辞任」を伝えていた。この日もグラウンドで一人一人と言葉を交わした。在任7年で3度のリーグ優勝、5度の日本一に導いた名将に「有終の勝利」を届けるべくチームは団結した。攻撃陣は工藤政権を支えた主力陣が躍動。指揮官が厚い信頼を寄せた中村晃、昨季から中軸を託した栗原が惜別弾を放った。途中出場のベテラン・松田も長打を放って元気なところをアピール。今季我慢強く起用した三森は複数安打をマークし、リチャードも適時打を放つなど応えた。

「千賀に10勝させてやりたい」と語っていた工藤監督。その言葉に応えるように、エースは冷え込む幕張で最速160キロをマークして6回3失点。前回対戦でも8回先頭までロッテ打線を無安打に封じた右腕が、この日も立ちはだかった。「僕の10勝のために投げさせてもらうみたいなところもある。監督の最後になる。そこはしっかり自分の中で思いながら頑張りたい」。言葉通り思いのこもった白星だった。指揮官に有終の勝利を届けたナインは「常勝軍団」のプライドを胸に、リスタートを切る。

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