野村義男のデビューアルバム「待たせてSORRY」たのきん三番手の美学!  10月26日は野村義男の誕生日

新御三家、ロック御三家、たのきん… 私が愛した「第3の男」たち

そもそも、なぜ男性アイドルを3人組にカテゴライズするのだろうと、子供心に不思議に思っていた。古くは御三家と称された橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦。幼かった私には、彼らがなぜアイドルかすらわからなかった。

郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎という新御三家にもぷんぷん怒っていた。ここに沢田研二が入って御四家だっていいではないか。まあ、ジュリーはもともとGSでロック畑だから毛色が違うが、そんなの小学生の私は知らなくて。

さらにロック御三家が登場してくると、ますます謎は深まった。CHAR、世良公則(ツイスト)、原田真二。このトリオには、ちょっと無理やり感を感じたものである。

でも「御三家」のキャラクター付けはなかなかに絶妙で、各イメージに沿って、それぞれの役割をすんなりと受け入れてしまったような気もしている。

①華やかさのあるスター
②情熱的なやんちゃ坊主
③派手さには欠けるが職人肌

たのきんトリオは、ジャニーズ事務所がジャニーズ事務所だけで「御三家」を作ろうとした結果の3人組ではないだろうか。たのきんの成功からシブがき隊や少年隊が生まれてきたとも言えるし。

例えば、下記のようにキャラクター別に配してみると、なかなかしっくりくる。異論はもちろん認めます(笑)。

①郷ひろみ ― CHAR ― 田原俊彦
②西城秀樹 ― 世良公則 ― 近藤真彦
③野口五郎 ― 原田真二 ― 野村義男

こうして見ると、私はいつだって「第3の男」的ラインを愛してきたんだなあ… 、としみじみする。五郎、真二、ヨッちゃん。そう、たのきんトリオにそれほど入れ込んだ訳じゃないけれど、私はヨッちゃんのファンだった。

『3年B組金八先生』の、番台で悶々とする風呂屋の息子、梶浦裕二役で目を付け、ヨッちゃんカラーのブルーの下敷きと缶ペンケースで授業に臨み、『ただいま放課後!』を楽しみに観ている中1ギャルだったのだ。

野村義男のソロアルバム「待たせてSORRY」満を持してリリース

1980年6月にはトシちゃんが「哀愁でいと」で、続くマッチは12月、「スニーカーぶる~す」で歌手デビューを果たす。2人とも鳴り物入りだったし、予想通り曲は大ヒット。その後も次々とシングルを発売して、賞取り合戦に参戦していく。

次はヨッちゃん! と期待が高まる中、ギター少年だったヨッちゃんは動かなかった。「ギターを持ってバンドでデビューしたい!」そう主張して譲らず、予定していたソロデビューが1年遅れたそうだ。まあそれでも遅い。

1983年6月、満を持して、ファーストソロアルバム『待たせてSORRY』をリリース。“たのきんトリオ” の活動に対する総括、ファンへのケジメ、新たなバンド活動へ向けての布石としたプレデビュー的な作品で、そのためシングルカットはなかったという。

完成記者会見では、同時に新バンド、The Good-Byeのお披露目を果たし、3ヶ月後にバンドは記念すべきデビューシングル「気まぐれOne Way Boy」を発表した。

プロデューサーは飯田久彦、Char、鷺巣詩郎、後藤次利、井上鑑等も参加

『待たせてSORRY』は、そんな、タイムポケットに挟まったような、ちょっと奇妙な立ち位置のアルバムだ。プロデューサーに飯田久彦を迎え、竹中尚人(Char)や鷺巣詩郎、後藤次利、井上鑑等が参加している。

ヨッちゃんからファンへのメッセージともいえる表題曲「待たせてSorry」は、手拍子とニューオーリンズ風ビートが軽やか。主演映画『三等高校生』のエンディング曲にもなった。

3曲めの「めちゃめちゃロックンロール」は、ヨッちゃんが大ファンだったChar作のドライブ感のあるロックナンバー。演奏はジョニー・ルイス&チャーが手がけた。The Good-Byeのレパートリーとしても有名だ。

他、50'sテイスト溢れる「メロディーライン」、熱いシャウトがキュートな「金の靴 銀の靴」、18歳のヨッちゃんのギターが堪能できるインスト「From the Biginning」などを収録。

ロックへの憧れと愛に溢れた、野村義男18歳の名盤

本作は2004年に復刻・CD化されたが、現在は廃盤で中古市場で出回っているくらい。実は私も手に入れたのは結構最近で、高額価格を飲み、思い切って買い求めた。ヨッちゃんが聴きたかった。「待たせてSorry」がずっと大好きで、一緒に歌いたかったのだ。

40年近い時を超え、やっと私のもとへ届いたヨッちゃんのファーストソロは、ロックへの憧れと愛に溢れた、初々しく煌めく18歳の名盤だった。痛快ウキウキソング「待たせてSorry」は80年代男性アイドル部門心のベストテン第1位に確定だ。

ジャケットやスリーブに写るヨッちゃんの笑顔も笑っちゃうほど可愛い。当時はよく言われたが、マジでエディ・ヴァン・ヘイレンにそっくり! くしゃっとした笑いジワにほだされてしまう。待ち合わせ場所で「待たせてSorry!」と謝られたら一発で許す笑顔である。許さいでか!

※2019年5月12日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 親王塚 リカ

あなたのためのオススメ記事中野のヒーロー野村義男!The Good-Bye が残した極上のポップセンス♪

▶ 野村義男の記事一覧はこちら!

80年代の音楽エンターテインメントにまつわるオリジナルコラムを毎日配信! 誰もが無料で参加できるウェブサイト ▶Re:minder はこちらです!

© Reminder LLC