命守る樹林帯を守れ 大規模伐採見直しへ神奈川・平塚海岸で保全訴えるイベント

平塚市が伐採予定の海岸樹林帯の保全を訴えた地域住民らによるフェス=同市袖ケ浜

 平塚市が平塚海岸で進める公園整備計画を巡り、大規模伐採が予定される海岸樹林帯の大切さを訴えるイベント「海街フェス」が24日、同所で開かれた。12月の着工が迫る中、計画に反対する市民グループは「少しでも着工を遅らせ、災害から住民の命を守っている樹林帯の大切さを多くの人に知ってもらいたい」と訴える。

 フェスは地元住民らでつくる実行委員会の主催で、昨年10月から始まり3回目。多くの親子連れも訪れ、絵本の読み聞かせや万華鏡作りのワークショップ、林の中を巡るクイズラリーなどを楽しんでいた。フリーマーケットやギターの演奏も行われた。

 計画は、龍城ケ丘プール跡地(同市龍城ケ丘)周辺約3ヘクタールに120台分の駐車場を設けた公園を整備し、市民の憩いの場となっている樹林帯(約1.5ヘクタール)の大部分を伐採する。

 樹林帯は防風や防砂の役割を果たしており、住民団体は今年4月に独自に周辺の塩害被害を測定。樹林帯後背地と比べて樹林が途切れるプール跡地では飛来塩分濃度が60倍以上に上った。住民団体は7月、地元5町内会との連名で調査結果を県に提出。市も9月、独自の塩害調査を実施することを打ち出した。

 市は「12月の着工時期は変わらない」としているが、実行委員会の有川和香恵代表は「長い年月をかけて育った樹林帯。自然災害も近年増えており、市は計画を縮小して見直す勇気を持ってほしい」と訴えた。

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