【動画】時には15時間シフトも。ウイリアムズF1を支える物流担当スタッフに注目

 年間20戦以上を数える現代のF1。シーズン中は毎週のように世界中どこかのサーキットのパドックにきらびやかなモーターホームが立ち並び、コース上ではマシンが白熱のバトルを展開する。しかしこの華やかな世界は、その機材や備品を会場まで送り届けるスタッフの存在なくしては成り立たない。ウイリアムズが公開した動画では、チームの物流を担当するスタッフにスポットライトをあて、第13戦ベルギーGPから第14戦オランダGPの2連戦での彼らの仕事ぶりを紹介している。

 マシンからピットやモーターホームの設備に至るまで、F1チームの備品を数えだせばきりがない。しかし、そのすべてがグランプリには必要であり、それらを運び設営する物流スタッフもまた、チームには不可欠だ。

 ベルギーGP開催中の日曜日。レースがまだ行われている午後3時から動き出した物流スタッフは、レースに必要な設備だけを残しながら撤収作業を進めていく。F1チームの一員でありながら、彼らにはゆっくりとレースを観戦することも許されない。

 作業は夜通し続き、すべてが完了したのは翌朝6時頃。なんとも過酷なスケジュールだが、あれだけの設備をたった一晩でパッキングしてしまう彼らの手際の良さにも驚きだ。

 今回は翌週末にオランダGPが控える2連戦。夜のうちにオランダに到着した彼らはすぐに設営に取り掛かる。15時間シフトで朝7時まで夜通し働き、また夕方にはサーキットに戻って作業を終わらせるという。

 もちろん、こうした設営作業に取り掛かるのは専門スタッフだけではない。彼らが休んでいる間もクルー総出でピットやモーターホームが組み立てられていく。チームのシェフにも仕事はある。コンクリートブロックとパレットを積み上げた即席の厨房でスタッフに食事を提供するのだ。

 ときには重機の力も借りての大掛かりな作業は続き、ついに私たちが普段目にするピットとモーターホームが姿を表した。こうしてやっとフリー走行から予選、決勝へと続くいつもの週末が始まる。しかしまた次の月曜になれば、これらは跡形もなく消え、次のサーキットへと旅立っていく。

「シーズンが始まれば2ヶ月は家に帰れないこともあるね」と動画の最後で話すのは物流スタッフのエド・フィリプセン。

「妻は僕が居なくて寂しいだろうけど、僕が仕事を楽しんでいることが、彼女にとっての喜びでもあるんだ」

 ときには家族との時間を犠牲にしてでも打ち込むだけのやりがいが、この仕事にはあるようだ。

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