衆院選 長崎2区 松平候補 無党派取り込みへ 諫早・西彼で懸命にアピール

松平候補の屋外集会で必勝を期し、ガンバローコールをする支援者ら=諫早市内

 立憲民主前職、松平浩一候補(47)と自民新人、加藤竜祥候補(41)による与野党一騎打ちとなった衆院選長崎2区。農林水産副大臣も務めた父寛治氏の後援会を引き継ぎ組織戦を展開する加藤候補を相手に、比例北陸信越からのくら替えで地盤のない松平候補は、都市部である諫早市や西彼地区の無党派層の取り込みにも注力している。だが、名前と顔を十分には浸透できておらず、陣営は“風”を起こそうと懸命だ。
 公示後の21日、同市内の労組。松平支持を呼び掛ける法定の選挙はがきが、処理が終わりきらないまま段ボールに入っていた。小選挙区は1候補者当たり3万5千枚。後援会や支援組織が集めた名簿を元に宛名を書くなどして発送する。松平候補を推薦する連合長崎の傘下労組にも割り当てられたが、配分は過去に連合長崎が支援した2区候補に比べ大幅に増えた。
 「本来は公示前に終わっているべき作業。労組の負担増は(加藤陣営ほどの)しっかりした後援会組織がないことの裏返し」(関係者)。その頼りの労組も組織率は低下傾向にある。島原藩主も務めた深溝(ふこうず)松平家の末裔(まつえい)という縁で2区に挑む松平候補だが、陣営の一人は加藤候補との組織力の差を「象とネズミ」に例える。
 こうした中、鍵となるのが都市部に多い無党派層への浸透だ。3人が争った前回、野党2候補の諫早市と西彼時津、長与両町での合計得票数は、3選を果たした寛治氏を上回った。公示前、松平候補は加藤候補のおひざ元の島原半島で地域回りを重ねた一方、「玄関先まで出てきてくれる住民が少なかった」(松平候補)という都市部では、幹線道路での朝のつじ立ちにも力点を置いてきた。
 野党候補が一本化された今回、陣営が期すのは2009年衆院選の再来。民意のうねりで民主(当時)が政権を奪取し、2区でも無党派に浸透した新人の福田衣里子氏が自民の重鎮、久間章生氏を破った。
 だが、松平候補の知名度は当時の福田氏に遠く及ばない。無党派層からは「コロナ禍で景気は低迷したまま。政治には、ばらまきではなく、長期的な計画を求めたい。投票に行くつもりだが、(2区の)候補者がどんな人か知らない」(長与町の40代女性医療従事者)との声も聞かれる。「まだ、あの時の“風”には至っていない」(饗庭敦子選対長)のが現状だ。
 週末の23日、松平候補の姿は西彼地区にあった。選挙カーが住宅地を縫うように走り、散歩途中や自宅から窓を開けて手を振る人の姿も。人影を見つけると松平候補は駆け寄り、「政治を変えたい」と訴えた。関係者は言う。「(現政権の)コロナ対策への不満は根強い。選挙戦最終日まで、とにかく一人でも多くの有権者に顔を見せてアピールしていくしかない」


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