籠池夫妻が明かす拘留300日 車イスの夫を叱った妻・諄子氏「情けない。体に逃げてる」

左から籠池諄子氏、家田荘子氏、籠池泰典氏(東スポWeb)

あなたの話をお聞かせください――。作家で僧侶の家田荘子氏が気になる人物に迫る「駆け込み寺」対談編。話すことで自身を見つめ直し、人生の学びを見いだす。今回のゲストは学校法人「森友学園」の補助金不正事件で、詐欺罪などに問われ控訴中の同学園前理事長の籠池泰典氏(68)と妻の諄子氏(64)。諄子氏は森友問題を「国策捜査だ」と主張し、再調査を掲げて衆院選(31日投開票)に出馬した。そんな2人の300日に及んだ拘置所生活に家田氏が斬り込んだ。

家田荘子氏(以下、家田)逮捕され、300日拘留。逮捕前、家で荷造りしてましたよね。

籠池諄子氏(以下、諄子)弁護士さんに「(出頭の)用意しておくように」と言われて。

籠池泰典氏(以下、泰典)4~5社のテレビの人たちが泊まっていて、「検察官が来ますよ」と聞いてたんです。

家田 車で出頭。

泰典 家内は逮捕されるなんて思ってないから、私の身の回りの物を持って付いてきたら、(大阪地検の)地下で「携帯電話を出してくれ」と言われ、別々の部屋に連れて行かれて。

諄子 事情聴取され、「逮捕します」と言われて、手錠をはめられた瞬間、自分の中にドスンと重りが入ったようでした。

泰典 僕自身も逮捕されるとは思ってなかったが、検察官が机の引き出しから逮捕状を取り出して「逮捕する」と。「なぜか」と言ったら、「そんなことは答えない。逮捕する」と。刑務官が数人来て、手錠をかけられ、腰縄を巻かれた。言葉遣いも逮捕されると急に変わりますよ。

諄子 拘置所に運ばれて身体検査。裸になってパンツの中まで見られて、シャワーも浴びて…。個室に入った時に「はぁー」と思って涙が出た。

家田 屈辱的な経験。

諄子 今でも話すのは嫌な体験ですね。拘置所に入ると、若い意地悪な看守さんがいましてね。「くそー」とか叫ぶので、口汚くて印象的でした。それで、弁護士さんに1日2回手紙を書けるんですが、「若い看守さんがあんな言葉遣いなんて」みたいなことを書いてたら、だんだん静かになりました(笑い)。

家田 すぐに帰れると思った。

諄子 お父さんを助けなければという感じでしたね。私が崩れるとお父さんが心配すると思ったから、「心配されることは私にとって迷惑です」と弁護士さんに伝えてもらってました。私にとって、お父さんに心配される方が苦しいんです。

泰典 それは言うてたね。

諄子 週刊誌にお父さんが痛風で車いすと書かれていたんですけど、私は弁護士さんに「情けない。体に逃げてる」と言ったんです。弁護士さんは「普通、心配するのに」と言ってましたけど、「悩んだり、苦しんだりしたらダメ。私のことは大丈夫だから」と伝えてもらいました。

家田 泰典さんはいかがでした。

泰典 僕の方は鉄筋コンクリートだけど、冷暖房完備ではなくて寒かった。それで、しもやけにもなった。部屋の構造は三畳半で水洗のトイレがあった。差し入れもあったんですけど、緑色の囚人服を着ていました。いわゆるストライキみたいなもんですよ。自分がどこが悪かったんやという意味でやった。接見禁止も長かったですからね。公判前整理手続きで、妻に会えた時はうれしかったですね。

【対談を終えて】付き添いで検察庁に行って別々にされて逮捕される。想像しただけで身につまされるというか、心が痛かったです。誰とも連絡が取れないというのが、もし自分だったらと置き換えると本当につらかっただろうなと思う。それでも、籠池さんが車いすになったら「だめだ」と叱った。女は強いなと思いました。(家田)

☆いえだ・しょうこ 7月22日生まれ。愛知県出身。日本大学芸術学部放送学科卒業。女優、OLなど10以上の職歴を経て作家に。大ヒット映画「極道の妻たち」の原作者として知られる。1991年「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過ごした一年の壮絶記録」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2007年高野山大学にて伝法灌頂を受け僧侶となり、住職の資格を持つ。ユーチューブ「家田荘子チャンネル」を配信中。

☆かごいけ・やすのり 1953年2月7日生まれ。香川県高松市出身。学校法人森友学園元理事長。
かごいけ・じゅんこ 1956年11月23日生まれ。大阪府大阪市出身。
79年に結婚。おしどり夫婦として知られる。2017年、補助金不正受給事件でともに逮捕された。1審で泰典氏は懲役5年の実刑、諄子氏は懲役3年、執行猶予5年を言い渡され控訴中。諄子氏は衆院選大阪5区に無所属で出馬。

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