前回【キャンプの基本シリーズ6】では、ランタン(照明)の種類やそれぞれのメリット・デメリット、燃料の基礎知識など、ランタンそのものについて解説しました。難しいお話が多かったかと思いますが、今回は実際のキャンプで使える、実践的なランタンのお話。ランタンの配置や使い分けについて詳しくお話ししていきます!
前回は、「ランタン(照明)の種類やそれぞれのメリット・デメリット、燃料の基礎知識などを解説しました!
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ランタンの配置には空間と用途を意識した3つのゾーンを考えるべし!
早速ですが、みなさんはランタン(照明)の配置を工夫していますか?
僕は、サイトにランタンを配置する際、捨てランタン、メインランタン、テーブルランタンと3つのゾーンで考えます。
具体的に配置したのが、こちらの写真です。
ひとつひとつ解説していきます。
① 遠くには虫寄せと全体を照らすための捨てランタンを設置
まず、テーブルから最も遠くにあるランタン。僕はこれを「捨てランタン」と呼んでいます。近隣サイトの配慮としてリフレクターを装着しているので、サイトの外側まで照らすことはありません。
この「捨てランタン」は、虫寄せと、サイト全体を照らすために配置しています。このランタンに虫が寄ってくれるので、夏でも虫に悩まされることはありません。蚊の場合は人に寄ってきますので、蚊取り線香は必須ですが。。。
② メインランタンは少々離して高い位置に設置
メインランタンは、テーブルから少し離れた高い位置に設置します。
写真ではわかりやすいよう1カ所に設置していますが、2カ所設置して照らせば、全体的に影の少ない明るいサイトになるのでおすすめです。僕はテーブルの後ろにも設置するので、サイト全体がまんべんなく明るくなります。
ただし、もちろんこのメインランタンにも多少虫が寄ってきます。でも、テーブルから少し離して設置することで、テーブル上に虫が寄ってくることはほとんどなくなりますので、ご安心を。
③ テーブルランタンには揺らぐほのかな炎を設置
テーブルランタンは、一番目に入る光です。ほのかな揺らぐ炎は、ゆったりとした時間を演出してくれます。
さらに、暖かな光は料理をさらにおいしそうに見せてくれ、豊かな時間をもたらしてくれるのでおすすめ。僕は4連のルミエールランタンをここに設置しています。
▼オリジナルトルコランプを自作した記事はこちら▼
このように、「捨てランタン」「メインランタン」「テーブルランタン」の3つのゾーンを意識して配置することで、虫も寄らず、明るく雰囲気のあるサイトを演出することができるんです。
ここからさらに、今ご紹介したゾーンや最適なランタンの種類、設置する際に工夫すべき点について詳しく解説していきます!
虫寄せの「捨てランタン」はリフレクターを使ってあえて強烈な光に
「捨てランタン」という言葉は僕が勝手に作った言葉なので、インターネットで調べても出てこないと思います。
虫を集めるために遠くに置いておくランタンという意味で僕はそう呼んでいます。
実はこの「捨てランタン」の用途は虫寄せだけではありません。一番明るいランタンをリビングから離れたところに置いて、全体を照らすという目的もあるんです。
この写真では、一番大きなツーマントルランタンをテーブルから少し離して設置してサイト全体を照らすと共に、虫を集めています。そうすることで、テーブルが虫だらけになることもなくなります。
また、タープの下に置くことでタープがランタンに照らされて、間接照明のようにサイト全体を明るくしてくれます。
さらに、僕が設置する「捨てランタン」には、ランタンリフレクターを取り付けています。
このランタンリフレクターは、光を必要な方向に集めてくれるもの。この強烈な光に虫を寄せ付けるのです。
もちろん、リフレクターを使って方向を調節するのは、隣接しているサイトへの気遣いのためでもあります。
気化式ランタンはテーブルランタンには不向き! メインランタンとして使おう
気化式ランタンは下にタンクがありますので、直下を照らすことが苦手です。
テーブルの直上に吊るして使うとランタン直下が暗くなるだけでなく、発光しているマントルが眩しくて何も見えなくなってしまうことも。
また、強い光を近くに置くと、影が濃く出てしまい見にくくなるというデメリットもあります。
手元を照らす明かりとして使うにも、明るすぎて余計に見づらくなってしまうことも。
これらの理由から、気化式ランタンはテーブルから少し離して、サイト全体を照らすメインランタンとして使用するのがおすすめです。
さらに、メインランタンは2カ所以上から照らすことで全体をまんべんなく照らしてくれるので、影の少ない明るいサイト作りに必須のアイテムです。
メインランタンは眩しすぎないフロストホヤ(フロストグローブ)がおすすめ
「ホヤ」とは、ランタンのマントルを覆っているガラス製のカバーのことで、「グローブ」とも言います。
僕は、サイトを照らすメインランタンのホヤには、すりガラスのような加工が施された「フロストグローブ」を使っています。
これは、マントルの光が目に直接入るのを防ぐためで、これでだいぶ眩しさが緩和されます。
余談ですが、僕は運搬中にお気に入りのホヤを割ってしまったので、それからはホヤ用のカバーを必ずしています。みなさんも気をつけてくださいね。
気分の上がる灯りもムード作りには必須! 見た目重視のランタンも取り入れる
僕の持っているギアの中で一軍と二軍を行ったりきたりしていた、ペトロマックスの『HK500』。ここ数年でメインランタンのひとつとなりました(詳しいエピソードは前回の記事でご紹介しています!)。
見た目は最高なのですが、ちょっとヤンチャできかん坊な困ったちゃん。
でも、これがひとつサイトにあるだけで気分が上がるので、使わなくてもいつも積んでしまうんです。。
傘状のリフレクターを装着することで、テーブルに置いても眩しくありませんし、テーブルに映し出される光の形も独特でどこかなごみます。
吊るして使えばリフレクターが地面を丸く照らし出します。このディティール、この柔らかな光、この地面の照らし方……。困ったちゃんでも、やっぱりペトロマックスはサイトにあると気分が上がります。
みなさんにも「あるだけで気分の上がる思い入れのあるランタン」があれば、ぜひ使ってあげてください。
僕はこのペトロマックスを一番目につく表側にメインランタンのひとつとして吊るしています。
テーブルランタンには光量があり料理をおいしく見せてくれるこだわりのランタンを
テーブルランタンには、燭台ルミエールを使っています。
「燭台(しょくだい)」とは、ろうそくを立てるための台、つまりキャンドルスタンドのこと。私はルミエールを4つ使って燭台のようにしてテーブルを照らしています。
炎のゆらぐ柔らかな光が料理の見た目をグンとレベルアップさせてくれますし、ランタン自体が美しいので、食卓が豪華になります。
僕はこの他にも、2連、5連をテーブルの大きさや人数によって使い分けています。
ルミエールはひとつでは暗すぎてテーブルを照らすには力不足ですが、4つ使うと充分な光量となります。
吊り下げ式LEDランタンはキッチンやテーブルの手元用照明として使おう
キッチンやダイニングテーブルなど、手元を照らしたい場所には吊り下げ式のLED照明がベストです。
テーブルの直上だと照明が近くなってしまいですが、LEDなら危険も少なく熱くもありません。
また、LEDは虫を寄せ付けにくいので、キッチンやダイニングテーブルの近くに設置しても問題ありません。
料理をするときに点灯させて、料理が終わったとき消灯、面倒な儀式なしに簡単にON、OFFできるのもLEDランタンのメリットです。
ランタン(照明)の配置と上手な使い分けをマスターしておけば安心・快適なキャンプができる
いかがだったでしょうか?
ランタンは、ただ照らすだけではなく、虫寄せとして、全体の明かり取りとして、手元照明として、ムードたっぷりな空間演出として、さまざまな用途に使い分けが可能。適切に使い分ければ、家にいるより快適で気持ちの良いサイト作りが可能になります。
適切な配置と上手な使い分けをマスターして、より快適で楽しいキャンプにしてみませんか?
▼前回の「キャンプの基本シリーズ」はこちら▼
【キャンプの基本シリーズ6】意外と知らないランタン(照明)の種類と使い方 - ハピキャン|キャンプ・アウトドア情報メディア
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