スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.15 坪井翔さん

 2021年も、ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はAudi Team Hitotsuyamaの篠原拓朗選手からご紹介いただいた、TGR TEAM au TOM’Sの坪井翔選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークのようなものができないか……? という企画が編集部内で出てきたのが2月。第1回の石浦宏明さんから阪口晴南さん、新田守男さん、高木真一さん、さらに片岡龍也さん、柳田真孝さん、星野一樹さん、本山哲さん、吉田広樹さん、蒲生尚弥さん、大嶋和也さん、松田次生さん、織戸学さん、篠原拓朗さんと繋がっています。

 篠原選手とは小さいころ、レーシングカートを戦っている時代からの知り合いだという坪井選手。四輪ではそれほどキャリアでも重なっていないのでちょっと意外かもしれませんが、そんな繋がりのお悩み、どうなるでしょうか? 今回はこの企画初のリモート取材でお話をうかがいました。

* * * * *

■意外とゲンをかつぐタイプだそうで。

──そんなこんなでよろしくお願いします。まず、この連載なのですがご覧になったことはありますか?
坪井翔さん(以下坪井さん):はい。見ました。

──それは良かった。そんなワケで今回は篠原拓郎さんからのお悩みを解決してほしいのですが、せっかくなのでお悩みについて聞く前に、今シーズンのスーパーフォーミュラ、スーパーGT、スーパー耐久等、参戦カテゴリーを振り返ってください。
坪井さん:ん〜。微妙ですね。スーパーGTに関しては割と良い感じだと思いますが、スーパーフォーミュラは良いところが一切ないので……。難しいですね。昨年は2回勝ったのに今年は表彰台にすら乗れないレースが続いていて、スーパーフォーミュラの難しさを痛感しているところです(※編注:この取材はスーパーフォーミュラ第6戦もてぎの直前に行いました)。

──スーパー耐久はどうですか?
坪井さん:シーズン序盤が全然ツイてなくて、スーパーGTの富士(第2戦)にしろ、優勝のチャンスを逃してしまったり、スーパー耐久も最初の3戦くらいまでは予選でポールポジションを獲っても、決勝でトラブルが出て優勝できないというレースが続いていました。なので今年の前半戦は、速さはあるけれど自滅してしまったり、トラブルなどで結果がついてこなかった半年間で、結構しんどかったです。ただそれを過ぎてからはスーパー耐久で勝ったりしつつあるので、少しずつ元に戻りつつあるのかなという状況です。

──……お祓いには行きました?
坪井さん:行きました。

──やっぱり行くんだ(笑)。
坪井さん:それからは普通になってきた気がします。

──ちなみにお祓いはどこに行くんですか?
坪井さん:いつも地元の方に行ったりしていて、あとはたまたまインタープロトで鈴鹿のレースがあったときに伊勢神宮に行ったりしました。

──そういう意味では、けっこうゲンをかつぐ方ですか?
坪井さん:けっこうそういうことに頼るタイプですね(笑)。

au TOM’S GR Supra
スーパーフォーミュラではJMS P.MU/CERUMO・INGINGから参戦する坪井翔
GRGarage水戸インター GR86

■篠原拓朗さんはこれに乗ってください

──なるほど。F3時代から取材してますが、それは知りませんでした(笑)。というわけで、篠原拓朗さんとはどんな関係ですか?
坪井さん:小さいころ、カートをやっているときからお互い知っているのですが、そのころはあまりしゃべったことはなかったです。ずっと知り合いでカートからやってきていますが、いちばん深く関わり始めたのはFIA-F4くらいからですかね。フォーミュラに上がって、同じFIA-F4に出たところからまた話すようになって、そこからは長く深い付き合いという感じです。

──ちなみに年齢は?
坪井さん:(篠原さんが)ひとつ上ですね。

──そんな篠原さんのお悩みがたくさんありまして。
坪井さん:何かそんなこと言ってました(笑)。

まずは『この先どうしよう……』みたいなことを悩んでいるらしいのですが。
坪井さん:それみんな思ってますよね(笑)。

──ま、ですよね(笑)。レーシングドライバーとしてこの先どうしようかということを悩んでいて『それは結果を出すしかない』という話をしました。
坪井さん:それはそのとおりですね(笑)。

──もうひとつが『クルマを買い替えたい』らしいのですよ。
坪井さん:クルマを買い替えたい? 街乗りの話ですよね?

──そう。坪井さんは最近GRヤリスをお買い上げになりましたよね? GRヤリスいかがですか?
坪井さん:良いですよ。トヨタドライバーは『KINTO』のシステムを使うことができて、トヨタ車、レクサス車で好きなクルマを選べるという感じなので、僕はいま流行りのGRヤリスにしました。でも、僕のGRヤリスはCVTなんです。 本当はマニュアルのRZ“High performance”にしたらスピードも出て楽しいとは思いますが、僕のはどちらかというと街中向けの、女性でも乗れるようなパワーがあるようなクルマではないので、ある意味、フツーの一般車です。 あとは意外と荷物を積むことができますね。GRヤリスの前は86に乗っていましたがコロナ禍でクルマ移動が多くなって、レースの前後をマニュアル車で移動するのは『ちょっとしんどいな』と思って今回はCVTにしましたが、やっぱり移動は楽で、サーキットまで負担ががからず往復できるので、それは大きいかなと思っています。

──なるほど。篠原さんはSUVにしようか、もしくはどういう形のクルマにすればいいか、悩んでいるらしいですよ。
坪井さん:それ、もう『好きにしてくれ!』という感じじゃないですか(笑)。僕が『これにすれば』と言ってそのクルマを選ぶものでもなくないですか?

──とりあえず、試しに篠原さんが乗るのにどれがいちばん似合っているか選んでみては? どのクルマが篠原さんに似合いそう?
坪井さん:あまりクルマに詳しくないんですけどね……。何がいいかな〜? 新しくレクサス『LX』が出たのでそれにしましょう!

──ずいぶんデカいクルマきましたな(笑)。分かりました。篠原さんのお悩みへの答えは『LX』ということで解決にしときましょう。

10月に発表されたばかりのレクサスLX。篠原拓朗さん、買いましょう。

■次回、あの人が登場します

──そんなわけで、坪井さんは最近お悩みないですか?
坪井さん:悩み……。う〜ん。考えていたんですけど、あまりないんですよね。

──なんでもいいですよ。ぜんぜんプライベートのことでも。
坪井さん:う〜ん。『どうしたらレーシングドライバーとして長く生きていけるか』ですかね。いまで言うと立川(祐路)さんがGT500で長いじゃないですか。本当にすごいと思うのでその秘訣を。

──ほう。レーシングドライバーを長くやるための秘訣ということ?
坪井さん:立川さんはSNSもやらないし、例えばスーパー耐久など別のカテゴリーにも一切出ないじゃないですか。なので、たぶん自分の中にすごい“芯”があって動いていると思うんですけど、その秘訣みたいなのがあれば聞きたいなと思います。

──それは、次回は立川さんに聞いてみたいということでいいですか?
坪井さん:そうですね。立川さんに聞いてみたいです。でも立川さんは僕から回すと『なんで回すんだ!』と言いそう(笑)。

──ぜったい言うでしょ。
坪井さん:怒られそうな気もしますけど(笑)、でも聞いてみたいです。

──でも、たしかにそれはワタクシもすごく気になることです。
坪井さん:すごく不思議というか、あまりいないタイプじゃないですか。やっぱりレーシングドライバーは、乗れるものにはなるべく乗りたいと思っているだろうし、本当に自分を貫いている、ブレない理由が知りたいです。結果的にGT500ですごく長く乗っている人なので、その理由をいろいろと知りたいですね。

──たしかにそれは気になりますね。ではそれを立川さんにぶつけてみるということで。……あれ? なんだか時間が短いな(※編注:この連載、たいてい取材時間が20分前後なのです。この時点で10分少々でした)。ほかにお悩みはないですか?
坪井さん:ほかに悩み……なんだろうな……。

──ふだんあまり悩まない方?
坪井さん:あまり悩まないですね。悩んでいるんでしょうけど、あんまり考えないように、見て見ぬ振りをするので(笑)。

──なるほど。ある意味いいことだと思います。
坪井さん:タクローからの悩みはそれだけでした?

──あとはちょっと抽象的なのが多かったので、それだけで良いかと。
坪井さん:なるほど。じゃあいいですね(笑)。

* * * * *

そんなこんなで、次回は坪井選手にとってのスーパーフォーミュラでの監督、スーパーGTではドライバーとしてのライバルであるTGR TEAM ZENT CERUMOの立川祐路選手に繋がりました。三度のチャンピオンは今年46歳。筆者の1歳上で、なぜここまでトップドライバーとしてのポジションを保てるのかは、たしかに気になっておりました。坪井選手の質問、すごく気になります。

次回もお楽しみに!

© 株式会社三栄