【香港】隔離免除措置の大半を廃止へ[社会]

入境規制強化、中央の要求受け

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骨折の療養から公務に復帰して初めての会見を開いた林鄭行政長官=26日(香港政府提供)

香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は26日、海外からの入境者に対して一部例外的に認めている隔離免除の措置について「大部分を廃止する」と表明した。中国本土との隔離なしでの往来再開に向け、中央政府から新型コロナウイルスへの対応を強化するよう求められたため。香港政府は本土との往来再開を最優先課題と位置付けており、域内のコロナ対策も中央の基準に合わせて一部引き締める見通しだ。

定例会見で明らかにした。香港では現在、海外からの入境者には原則として7~21日間の強制検疫(隔離)が義務付けられるが、国際線の乗務員、船員、上場企業幹部、政府関係者らには一部例外的に隔離免除が認められている。

林鄭氏は、詳細は改めて発表するとした上で「緊急性、必要性が極めて高い香港の日常的なオペレーションに関係する人に対してを除き、大部分の隔離免除は廃止する」と述べた。引き続き隔離が免除される対象者の例としては、本土との物流を担うトラック運転手を挙げた。

香港では今年8月、撮影に訪れた米ハリウッド女優のニコール・キッドマンさんが隔離措置を受けずに市内を歩き回っていたことが物議を醸した。商務・経済発展局が隔離免除を認めていたためだが、政府内のさまざまな部門がそれぞれの基準で隔離免除を許可できる現行制度にはリスク管理の観点から批判があった。

林鄭氏は今回の判断について、本土との往来正常化を巡る折衝の中で「香港の防疫措置をいかにして本土基準に近づけるか」を中央から問われ、中央に対して香港が提示した回答の一つであることを説明。11月から政府機関への入場者にコロナ感染リスク通知アプリ「安心出行(リーブホームセーフ)」の使用を徹底させるとしたことも、同様にその一環だと明らかにした。

■本土往来、実現しても小規模

本土との往来正常化交渉を巡っては、先月26日に両地当局者会議の枠組みが立ち上がっている。本土側は当局者会議を通じて香港側に対し、感染者の退院条件の厳格化、医療従事者や空港職員、検疫用ホテルの従業員らを対象としたPCR検査の頻度増加、検査方法の見直しなども求めたとされる。

林鄭氏は会見で「香港の防疫措置を本土基準に近づける」対策について全ては明らかにしなかったが、「準備が整ったものから一つ一つ実施していく」としており、本土側が問題視するコロナ対策は順次引き締めに向かうと予想される。林鄭氏は「中央から信頼されるようにしたい」と強調した。

往来正常化の実現見通しについては、来年2月に開催される北京冬季五輪の後になるとの見方がある一方、政府は12月を目標にしているとの一部メディア報道も出ている。林鄭氏は「早ければ早いほど良い」と述べるにとどめ、具体的な時期には言及しなかった。次回の開催が待たれる両地当局者会議も「2回目の日取りは決まっていない」と述べた。

林鄭氏はまた、本土との往来正常化が実現するとしても「初めは小規模になる」として、隔離なしで本土を訪問できる人数は制限される見通しを説明。「コロナ前のように全ての検問所から便利に出入りできるという状況にはならない」とくぎを刺した。