阪神V逸も…いつもの「大失速」とは違った10月 ポストシーズン逆襲へ心強い“変化”

甲子園のファンに「逆襲」を約束した阪神・矢野監督(東スポWeb)

阪神は26日の中日戦(甲子園)に0―4で敗れ、シーズン最終戦でV逸が決定した。矢野監督は試合終了後、悔しさを押し殺しながらも「10月はバッター陣の状態がよくない中、ズルズルいってもおかしくなかった。投手がよく頑張って、スタメンではなかった選手たちもよくやってくれた」と12勝5敗3分けとシーズン最終月の10月を驚異的な粘りで戦い抜いてくれたナインたちをたたえた。

阪神にとって「大失速」は秋の季語だった。「亀新フィーバー」を巻き起こしながら、野村克也監督(故人)率いるヤクルトにシーズン最終盤で差し切られた1992年。2位に最大で13ゲーム差をつけ、7月下旬に優勝マジックを点灯させながら、巨人に大逆転優勝を許した2008年。入団3年目の藤浪が14勝を挙げる活躍をしながら、9月に6連敗を喫し王座をヤクルトに譲った15年など枚挙にいとまがないが、今秋の猛虎はひと味違った。

前半戦の戦いをけん引した佐藤輝、サンズらが大不振に陥り、エース・西勇も長く白星から見放されていた9月を10勝9敗2分けで乗り切ると、10月も貯金を再量産。ヤクルトと最後まで激烈な優勝争いを演じた。

「小川、島田、坂本などの若手、控え組の抜てきなどで穴を埋め、苦しい中もやり繰りしてくれた。『最後まで絶対にあきらめない』という指揮官の強い意志もチーム内に浸透していた」と球団関係者は矢野監督の手腕を評価する。

球団OBも「シーズン終盤にプツンと糸が切れてしまうのが阪神だったんだけど、今年は本当に最後の最後まで頑張ってくれた。選手たちは胸を張ってほしい」と後輩たちの奮闘をねぎらう。

今年も結果だけを見れば、前半戦の快進撃から一転してのV逸。だがそこに〝失速の虎〟と揶揄され続けた過去の姿はない。2021年の矢野阪神は、刀が折れかけ矢が尽きかけても、最終戦まで奇跡を信じ戦い抜いた。ポストシーズンでの逆襲劇に期待したい。

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