リカルド、サインツとの接戦を「こすり合い」と振り返る。“ちょっと汚い”との評価も気にせず/F1第17戦

 2021年F1第17戦アメリカGP決勝でダニエル・リカルド(マクラーレン)がカルロス・サインツ(フェラーリ)に対して見せた強烈なディフェンスについて、サインツは「ちょっと汚い」と称したが、リカルドにとっては「こすり合い」程度だったようだ。

 リカルドとサインツはレースのほとんどの周回にわたって激しい競り合いを演じた。なんとかリカルドを追い抜こうと最善を尽くしたサインツだったが、結局彼よりも先にフィニッシュすることはできなかった。

 ホイール・トゥ・ホイールのバトルを展開していたレース後半に、2台は接触した。さほど重大なクラッシュではなかったものの、サインツJr.はリカルドのドライビングについて無線で「ちょっと汚い」と話した。

「いつものようにレースが進むときもあったけれど、たまに面白い展開になることもあったね」とリカルドは語った。

「1周目はとても楽しかった。たぶんスタートで僕がカルロスを抜いた。そして、ターン6から7に入るところで、今度は彼が見事な動きで僕を抜き返した」

「さらにターン17では、僕がインから彼を抜き返したと思う。1周目のうちに3度も順位が入れ替わったんだからすごいよね。でも、今日トップ5に入るために、僕にとってあれはすごく重要だったんだ」

「シャルル(・ルクレール)は、フェラーリの方がマクラーレンよりも速いことを示した。今日の彼らのペースにはかなわなかった。だからチームとしてはペースを上げる作業を続けていく必要がある。けれど、そのうちのひとりを破ったことには満足しているよ」

2021年F1第17戦アメリカGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

「(サインツが)レース後半で強力なアタックを仕掛けてきた。当然サイド・バイ・サイドの競り合いになって、ホイールもすこし当たった」

「それはすごく面白かったし、僕としては抜かれないように最大限のことをする必要があった。当然、意図的に誰かに突っ込むようなことはない。だけど、多少こすれ合う程度のレースにはなるよ」

「それに、アウトから進もうとすれば、マシンはより無防備な状態になる。だから、意図的なことは何もなかったけれど、彼は危険を冒してでもアウトから行こうとしたんだと思う」

 リカルドは、コース上での動きかたについてサインツから「ちょっと汚い」と称されたと聞かされると、そうした描写は気にならないと語った。

「それはいいね。汚いと言われても構わない。僕はいいやつだからね。時たま汚くなる分には問題ないよ!」

2021年F1第17戦アメリカGP ダニエル・リカルド(マクラーレン)

 結局、リカルドは5位でレースを終えて、サインツJr.の順位をふたつ上回った。しかしルクレールが4位に入ったため、コンストラクターズランキングでは、フェラーリが先行するマクラーレンとの差を3.5ポイント差にまで縮めてきた。

 レースの終盤、リカルドには、サインツJr.をかわすだけでなく、良い順位を確保するために慎重なタイヤマネジメントを行う必要も生じていた。

「本当にやりにくかったよ。新しいタイヤセットに交換してピットを出れば、グリップはもっとよくなる。だけど、そのタイミングが早すぎれば、より早く失われてしまうんだ。プッシュできる、という確信がもてないままのレースだった」

「つまり、僕たちもプッシュはしていたけれど、あくまでもタイヤがもつ範囲で、ということだ。だから途中の何周かでは多少ジレンマを抱えることもあった。もっとプッシュすべきか、すべきでないか、とね」

「カルロスが強いアタックを仕掛けてきたとき、僕にはプッシュする以外の選択肢がなかった。その結果、スペースがあまりない時もあったんだ」

© 株式会社三栄