韓国ドラマ「イカゲーム」が米国のエリート層に嫌われる理由―中国メディア

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2021年10月25日、中国メディアの環球網は、韓国ドラマ「イカゲーム」が米国のエリート層に嫌悪されているとして、その理由を考察する記事を掲載した。以下はその概要。

米紙ニューヨーク・タイムズに近頃、「イカゲーム」に関する文章が掲載された。文章では同作品を「流血シーンや登場人物間の誇張された残酷な行為の連続」「資本主義、自由、個人の能動性に関する、人を戦慄させる視点」「生活をサディスティックなゲームとして、貧困を絶望的な拷問部屋として描いた」「恐怖を覚える」などと評している。

同作品を配信したNetflix(ネットフリックス)は、2010年代に急成長した米国のネット動画配信企業の代表だ。そして、同作品の世界的ヒットはネットフリックスがグローバル化を余儀なくされたことで起きた、必然の結果なのである。

新型コロナのパンデミックが起きる前に、北米地域の有料ネット動画ユーザー数はすでに頭打ちの状態になっており、ネットフリックスは世界市場を開拓せざるを得ない状況になっていた。北米を主な対象としていた時には「ハリウッド」ものばかりを配信していればよかったが、世界各地の視聴者を取り込むためには各国で人気を集めるコンテンツを配信する必要が生じた。

かくしてネットフリックスのグローバル戦略は韓国ドラマである「イカゲーム」の世界的な人気を引き起こしたわけだが、それは「ハリウッド的価値観の文化コンテンツを一方的に他地域に配信する局面を打破すると同時に、ハリウッド的価値観に代表される米国本土に他地域の価値観を持った文化コンテンツを流入させる」という複雑な文化的影響を生むことになった。

ニューヨーク・タイムズのような米国のエリート層を象徴するようなメディアによる「イカゲーム批判」は、米国の主要な価値観が世界の他地域とは必ずしも相容れないこと、そして「米国式グローバル化」が大きな困難に直面していることの表れである。

ハリウッド作品では、バックグラウンドやストーリーの過程に関係なく、最後は中産階級をイメージさせる白人の青年、中年男性が、個人の奮闘により問題を解決するとともに、光明の兆しを見せてエンドロールを迎えるというのが既定路線になっている。しかし「イカゲーム」は、資本主義エリートが想像するような「スーパーマンたちが出てきて正義を守る」といった内容に合うものでなければ、原罪的な色彩を帯びた「ジョーカー」による無政府的な暴力の快感を楽しむといったような「R指定」的な作品でもなく、見た最後に残るのは純粋な殺りくによるダークな結末だけだ。

「イカゲーム」は、いわゆる「バトルロワイアル」タイプの作品だ。この手の作品は1960年代ごろからすでに多く見られていたが、日本の「失われた30年」、韓国の抑圧された財閥型社会といった社会状況の中でこそ大きく花開いたのである。その中では、伝統的な資本主義エリートが構築を試みた中間層の多い「オリーブ型」の社会構造、社会秩序など跡形もなく吹き飛ばされてしまうのである。

西側世論の「イカゲーム」に対する議論は、米国式グローバル化の内在的な破綻の表れであることは間違いない。しかし、資本主義自体が抱える深層構造の危機には触れるところまではいっていないのだ。(翻訳・編集/川尻)