小室眞子さん

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 新しい何かが始まることの戸惑いを、詩人の工藤直子さんは「わからん」という一編に書いている。〈足を踏みだそうと 宙に浮かす/その足が 着地する世界は/わたしを どこに導くか……わからん〉▲未知の世界に踏み出そうとした第一歩は、ずっと宙に浮いたままだった。婚約の内定から結婚までの4年間、その前には抱いたことのないような感情がない交ぜだったろうとお察しする▲敬称の「さま」はもう付かない。小室眞子さんがきのう、夫の圭さんと共に会見した。お互いをいつくしむ言葉も、感謝の言葉も聞かれたが、何よりも「一方的な臆測」「誤った情報」が広がり「恐怖心」を覚えた-という“肉声”が耳に残る▲圭さん側が抱えるトラブルを難じる声が、やがて結婚批判に燃え広がった。婚約者のプライバシーが容赦なく暴かれる。心ない言葉にも苦しむ姿は見せられない。反論もできずにいた▲皇室に身を置く「不自由さ」というだけでは足りないだろう。「私の人権は?」。そう問い掛ける、生身の人の声を聞いた気がする▲「わからん」の詩は続く。〈わからんからこそ/まず 手をのばし 足を踏みだす/「わからん」が原動力〉。今は不安の方が大きくても、いつか外国という、民間という新世界を踏み分け、押し開く日が来ることを。(徹)