【大学野球】来季リーグV2の戦力に? ヤクルトのドラ1vsドラ2対決「来ると思っていた」

試合終了後、無念の表情を浮かべる明大の主将・丸山和郁【写真:宮脇広久】

ヤクルト・ドラフト1位の法大・山下と同2位の明大・丸山が直接対決

東京六大学秋季リーグ戦は26日、明治神宮球場で1試合が行われ、明大が4-4で法大と引き分けた。首の皮一枚残っていた明大の優勝の可能性が完全消滅。2日前(24日)の立大戦で劇的な逆転サヨナラ打を放った主将の丸山和郁外野手は、この日の9回にもほぼ同様のチャンスで打席に入ったが、奇跡は2度起こらなかった。

明大は2点ビハインドで迎えた9回の攻撃で、無死満塁から代打の明新大地外野手が押し出し四球を選んだ。1点差に詰め寄り、なおも無死満塁。ここで打席に入ったのは願ってもない打者、丸山だった。2日前の立大戦では1点ビハインドの9回2死二、三塁で、中越え2点適時打を放ち、試合を決めていた。2試合続けて「逆転サヨナラ打」のチャンスが巡ってきたのだ。この日もそれまでに(4打数)2安打1盗塁をマークしていた。

ところが、カウント1-1となったところで、相手投手が尾崎からエースの山下に代わる。打席の丸山はヤクルトからドラフト2位指名を受けたが、対する山下は同じヤクルトの1位指名。来季チームメートとなる可能性が高い2人の対決となった。

丸山は「(山下は)自分のところで来ると思っていたので、準備はしていた」と言うが、インローの146キロ速球に押し込まれ、あえなく一ゴロ。三塁走者が本塁封殺された。

続く4年生の陶山勇軌外野手も一ゴロ。2死から3年生の村松開人内野手が放った凡ゴロを、相手の二塁手がファンブルし、同点には追い付いたが、2年生の4番・上田希由翔内野手は空振り三振に倒れ、この瞬間に優勝の望みは儚く消えた。

明大はリーグV消滅、田中監督「私の継投ミスです」

前半は明大ペースだった。幸先よく1、2回に1点ずつ得点。守っては、今季デビューしリリーフで3試合に登板していた、2年生右腕・蒔田稔投手が初先発。7回72球2安打無失点という期待以上の快投を演じた。

しかし8回、リリーフに立った4年生の磯村峻平投手が、1死から1安打2四球を許し満塁のピンチをつくる。ここで登板した2年生の村田賢一投手は、法大の3番・齊藤大に同点2点二塁打、4番・浦には勝ち越しの中前2点適時打を浴び、一気に劣勢に回ったのだった。

「私の継投ミスです」と肩を落としたのは、田中武宏監督。「初先発の蒔田は行けるところまで行かせるつもりだったが、いきなり神宮のマウンドであれだけ投げたので、体には負担があったはず。蓑尾(海斗捕手)、コーチ、トレーナーと相談して、あそこで代えました」と明かした。

2試合連続のミラクル打とはいかなかった丸山は、「4年生のミスで負けてしまった。磯村もそうですし、自分も守備で中前打(2点適時打)の時に補殺できなかった。9回の攻撃も、4年生が打てない巡りになった」とうなだれ、「4年生が結果を出せず、下級生に頑張ってもらって申し訳なかった。今までやってきたことの詰めが、少し甘かった」と責任を感じていた。

「優勝の可能性はなくなってしまったが、最後の最後まで明大らしく、個人的にも主将の責務を全うして、なんとか勝って4年間を終えたい」と気持ちを切り替えた丸山。どんな状況になっても、闘志と粘りは衰えない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2