山田哲人は「やっと本気になったのかな」 ヤクルト小川GMが感じた主将の自覚と意地

ヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】

意外と体力がある、そこが基本にないと成績を残し続けられない

ヤクルト・山田哲人内野手が、6年ぶりのリーグ優勝を主将として味わった。昨季は不調に苦しんだが、プロ11年目を迎えた今季は136試合に出場して打率.272、34本塁打、101打点と復活を果たした。昨オフに7年総額40億円(金額は推定)の超大型契約を結び、自ら立候補して主将に就任。山田の成長ぶりを、1軍監督として入団1年目から見守り続けてきた小川淳司ゼネラルマネジャー(GM)が語った。

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山田の中に“キャプテン”という自覚と意地が見えたシーズンでした。実績や年齢で考えると資質は持っていなくてはいけません。今までは先頭に立つタイプではなかったですが、今年は大型契約もあって彼の中で主将に立候補して、思いが表れていました。だからといって成績を上げられる簡単な世界ではありません。大型契約を結んだからという意地も出ているのかな。その辺も彼が変わってきているところだと思います。

昨年は故障があって、調子が良かったとは言えませんでしたが、長くやっていれば故障をする年もあります。評価は今まで彼が積み上げてきた実績が一番でした。この先のことを考えても、年齢的にまだ十分できる。球団としては、体のケアさえされていれば成績というのはついてくると判断しました。山田は野球の技術、成績だけでなく、意外と体力があります。あまりクローズアップされていないですが、そこが基本にないとなかなかああいう成績を残し続けられません。今年も春先に足首が良くなくて1年間どうなるかなと思いましたが、シーズンに入ればしっかりと続けられています。ああだ、こうだ言いながらも、体力的にも本当に凄いなと感じています。

ヤクルト・小川淳司ゼネラルマネジャー【写真:編集部】

「僕を使ってください」から始まったCSでの1軍デビュー

1軍監督だった2011年、クライマックスシリーズ(CS)の中日とのファイナルステージに1軍未出場だった高卒新人の山田を呼びました。直前にフェニックスリーグでチェン投手と山井投手から安打を打っていて、CSで両投手と当たるということが理由のひとつにありました。合流すると、城石(憲之内野守備走塁コーチ、現日本ハム2軍内野守備コーチ)伝いに「僕を使ってください」と言っていると聞いて、悩んだけど思い切って起用することを決めました。今思えばそれも彼の必然だったのかなと。あれが彼の基本の性格というか、潜在的な部分なんでしょう。今までは表に出ていなかったですけどね。

今年になって、マウンドの投手のところに駆け寄ることが凄く増えた気がしています。外から見ているだけなので分からないが、きついことを言っているのではないかな、という場面が見受けられます。特に小川の時なんかね。今までと違うな、やっと本気になったのかなと。そういう姿を見ていると、十分変わってきているなと思います。

周囲にどう見られるかは、彼が一番感じるはず。今年、キャプテンという立場に自分を置いて、プレッシャーを掛け続けた年と言い換えられるのかなと思います。当然、今後も長くヤクルトスワローズの中心選手としてやってくれるだろうと期待しています。(Full-Count編集部)

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