韓国紙「安重根の遺骸発掘に日中は非協力的」「日本は情報隠蔽、中国は発掘場所にアパート建設」

韓国で義士として崇められる安重根の遺体発掘をめぐって、日本や中国が協力的でないという見方が出ている。日本の植民地支配時期に独立運動家だった安重根は1909年にハルビン駅で伊藤博文を暗殺し、旅順刑務所に移送の後に死刑となった。遺体は埋められたが、墓や具体的な埋葬地は明らかにされなかった。

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愛国者や退役軍人に関する行政を司る韓国国家報勲処(ほうくんしょ)は26日、「安重根義士ハルビン義挙112周年記念日」を迎え、安重根の遺骸を取り戻すため中国政府と協議をすると明らかにした。

韓国の通信社ニューシスは、これについて「成就するかどうかは不透明だ」とし、「遺骸がどこにあるか自体を知らない上に、遺骸があると推定される中国は北朝鮮を気遣っている」「安義士の死刑を執行した日本政府は《知らない》で一貫している」と報じた。

ニューシスは、当時の日本当局が、安重根の墓所が反日運動の聖地になることを心配し、自国の刑務所法を無視してでも遺骸を家族に返さなかったことや、埋葬地も秘密にしたことを伝えた。また、当局によって遺骸が後日移されたり、痕跡を取り除くために燃やされたりしたという説があるとの専門家意見を伝えている。

一方で北朝鮮は過去に安重根の遺骸を発掘するため、1970年代と1986年、それぞれ中国・旅順に遺骸発掘調査団を送るも発掘できなかった。

韓国は2005年に南北実務協議を通じて北朝鮮と共同発掘を推進したが、中国の非協力で共同発掘が遅れ、発掘予定地がアパート敷地工事で毀損される事態が起きている。2008年にようやく韓国は発掘専門家や地質専門家などで構成する発掘調査団を派遣するが、「調査地域がアパート工事で既にかなり毀損されたうえ、予期せぬ中国側の統制と制約で当初計画していた対象地域の一部だけ発掘するしかなかった」「長い年月が過ぎて地形変化も起きていた」ために発掘に失敗したとニューシスは伝えている。

伊藤博文

日本については、1982年7月の韓日外務長官会談後、波多野参議院外務委員長が旅順にある安重根の遺骸を韓国に安置できるように中国と交渉してみようとイ・ボムソク外務長官に約束したが、直後に日本の歴史教科書問題などが起こり頓挫。

1993年に韓国政府は日本政府に「安重根の墓所確認と遺骸返還が推進されれば、真の過去清算の美談になるだろう」と提案したが、「しかし日本外務省は死刑を執行した後、旅順監獄に埋葬したという内容以外に具体的な資料がないと答えた」とニューシスは伝えた。

ニューシスはまた、日本は安重根の遺骸に関する資料が残っていないとだけ繰り返し回答しているが、当時日本が政府次元で埋葬地の隠ぺいを指示していることから、実際は関連文書を持っている可能性が強いとの専門家意見を伝えた。中国に関しても日本が敗走時に償却できなかった資料を所蔵している可能性があると指摘しているとし、「専門家たちは日本と中国の態度に問題があると見ている」と伝えた。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「安重根先生の遺骸を韓国に戻さないと…いまだ祖国の元に帰れないとは」

「愛国の意味がない国」

「周辺国は本当に酷い奴らだな」

「…中国と協定を結ばないといけない。日帝に対抗して中韓が力を合わせないと」

「本当に恥ずかしい」

「10万ウォン札を発行して安重根をシンボルにしないと」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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