ダカールに挑む日野チームスガワラの新型ハイブリッドマシンが完成。加速性能が飛躍的に向上

 10月25日、日野自動車はHINO TEAM SUGAWARA(日野チームスガワラ)として2022年1月2~14日に中東サウジアラビアで開催される、ダカールラリー2022に参戦する新型車両が完成したと発表した。

 1991年にダカール参戦を開始した日野チームスガワラは、次回大会と同じくサウジアラビア1国開催となった2021年大会において、トラック部門の排気量10リットル未満クラスで12連覇を達成。その成功の歴史とチームに脈々と息づくチャレンジングスピリットを胸に、来年31回目のダカールラリーに挑戦する。

 日野は今年6月、2022年にスタートするFIA世界ラリーレイド選手権の開幕戦ダカールへの参戦を発表し、半年後の次回大会に同社初のレーシングハイブリッドシステムを搭載した新型マシンを投入することを明らかにした

『日野レンジャー』ベースのキャブオーバー型に代わって登場するニューマシンは、北米専売車の『日野600シリーズ』というボンネット型車両がベースとなる。

 日野はオートマチックトランスミッションを搭載して2020年大会に登場した同モデルをベースに、車両のさらなる軽量化を図るとともにレース用ハイブリッドシステムを搭載。最高出力800PSを発生させる8.8リットル直列6気筒ターボディーゼルエンジン“A09C-TI”と組み合わせ、システム最高出力1080PS(794kW)を発揮する新たな“リトルモンスター”を生み出した。

 新型ハイブリッドマシンについて、「徹底的に加速性能を向上させた」語るのは、榎本満プロジェクトチーフエンジニア。同氏は2022年型車両のトピックを次のように説明した。

「エンジンは新開発の高効率ターボで800PS化。また、瞬発的なモーター出力が期待できるバッテリー(ジェイテクト製リチウムイオン・キャパシタ)を採用し、エンジン+ハイブリッドの合計で1000PSオーバーを実現しています」

「さらに、瞬時に変速するレース用ATや高強度アルミとGFRPを多用した超軽量リヤボデーの採用など、新技術を満載しました」

 この新型マシンで開発テストを繰り返してきたチーム代表兼ドライバーの菅原照仁は、「10月のテスト走行でハイブリッドやオートマチック、足回りといったセッティングを煮詰めてきました」とコメント。

「加速性能も飛躍的に向上し、期待の持てる速さに仕上がりました。本番で大型ライバル勢にどこまで立ち向かえるかを楽しみにしています」

 10月上旬に“ハイブリッド仕様”の新リバリーが与えられた新型リトルモンスターは、もうまもなく日本を離れ、戦いの場であるサウジアラビアに輸送されることになる。

エンジンで800PS、電気モーターで280PS、ハイブリッドシステム合計1080PSの最高出力を誇る日野の新型ダカール参戦車両
車両軽量化のため超軽量リヤボデーには高強度アルミとGFRPが多用された
開発テストを行う日野600ベースの新型ハイブリッドマシン

ドライバー 菅原照仁

ベース車両 HINO 600シリーズ

エンジン型式 A09C-TI(ターボインタークーラー付き)

エンジン形式 ディーゼル4サイクル直列6気筒

排気量 8.866L

エンジン最高出力 800PS(588kW)/2900rpm

エンジン最大トルク 234kgm(2295Nm)/1700rpm 

HV最高出力 280PS(206kW)

システム最高出力 1080PS(794kW)

駆動方式 フルタイム4WD

トランスミッション AT(前進6速・後退1速)

トランスファー Hi-Loレンジ切替付、センターデフロック付

タイヤ XZL 14.00R20

車両重量 8600kg

全長 6700mm

全幅 2500mm

全高 3100mm

ホイールベース 4170mm

燃料タンク 800L

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