大クラッシュ発生で赤旗を挟んだ最終戦を22号車ユナイテッドASが制す/ELMSポルティマオ

 10月24日、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第6戦ポルティマオがポルトガル、アルガルベ・サーキットで行われ、予選6番手からスタートしたユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカ07・ギブソン(フィル・ハンソン/ジョナサン・アバディーン/トム・ギャンブル組)が2021年シーズン最終戦で勝利を掴んだ。

 すでに前戦スパ・フランコルシャンでチームWRTがタイトルを決めた状態で迎えたシーズンエンドイベントは、晴天の下でのレースとなった。ポールシッターは23日(土)の予選で地元のアルガルベ・プロ・レーシングを抑えて最速タイムをマークした、シャルル・ミレッシ駆るクール・レーシングの37号車オレカ07・ギブソン。

 ミレッシは翌24日の決勝でもスタートから順位を守り、彼が担当したレース序盤のスティントで隊列をリードした。その間にはLMP3カーの大クラッシュによる赤旗中断があった。

 見る者の肝を冷やしたこのアクシデントは、最終コーナーで突如左リヤタイヤを失ったデュケイン・チームの30号車オレカ07の高速スピンをきっかけに、2台のLMP3カーがこれを避ける過程で起きたもの。
 
 30号車の後ろを走っていた18号車リジェJS P320・ニッサン(1エイム・ビロルバ・コルサ)がピットエントリーの分岐点に設置されたバリアに正面から激突した。幸いドライバーのアンドレアス・ラスカラトスは無傷であったものの、大量のデブリを回収する必要があったことからレースは赤旗中断に。事故から25分後にセーフティカーランで再開されるに至っている。

 リスタート後に迎えた1回目のルーティンピット作業後にトップを奪ったのは22号車オレカだった。ユナイテッド・オートスポーツの1台はスタート直後に6番手から8番手に順位を落としたが、その後15分の間に4台を交わして4番手に浮上すると1回目のピットインではタイヤ交換を行わず、作業時間を短縮することでライバル勢の前に出ることに成功した。

 2度目のルーティンピットタイミングでは“新王者”チームWRTの41号車オレカ07・ギブソンと、アルガルベ・プロの24号車オレカ07・ギブソンに先行を許したが、ギャンブルがソフィア・フローシュの24号車を交わして2番手に浮上。すると次のピットストップタイミングでは41号車も交わして首位に返り咲く。22号車オレカはラスト20分の段階でスプラッシュ・アンド・ゴーを敢行するも、これによって順位が変わることはなくそのまま4時間レースのトップチェッカーを受けた。

 その20秒後方で行われた2位争いはファイナルラップまで混戦を極め、最後はルイ・デレトラズ駆る41号車オレカが駆るルイ・デレトラスが0.930秒差でフェルディナント・ハプスブルクの24号車オレカから逃げ切っている。

 総合4位はパニス・レーシングの65号車オレカ07・ギブソン。同5位にGドライブ・レーシングの26号車アウルス01・ギブソンが続き、ポールシッターの37号車オレカは総合6位でLMP2プロ・アマクラス優勝を飾った。

 LMP3クラスではインターユーロポル・コンペティションの13号車リジェJS P320・ニッサン(マーティン・ヒッペ/ウーゴ・デ・ヴィルデ/アダム・エテキ組)が今季初優勝を飾った裏で、クラス4位でフィニッシュした4号車デュケインM30-D08・ニッサン(DKRエンジニアリング)のローレンツ・ホアがシリーズチャンピオンを獲得した。

 GTEクラスは今季全戦で表彰台に上がっている80号車フェラーリ488 GTE Evo(アイアン・リンクス)のマッテオ・クレッソーニ/リノ・マストロナルディ/ミゲル・モリーナ組)がクラス優勝でチャンピオンシップ獲得を決めている。

2021年ELMS第6戦ポルティマオのスタートシーン
ELMS最終戦ポルティマオで優勝したユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカ07・ギブソン
前戦スパ・フランコルシャンでチャンピオンを決め、最終戦では2位表彰台を獲得したチームWRTの41号車オレカ07・ギブソン
チームの母国ラウンドでの表彰台獲得に笑顔を見せる24号車オレカ07(アルガルベ・プロ・レーシング)のフェルディナンド・ハプスブルク/ソフィア・フローシュ/リチャード・ブラッドレー組
ポールポジションを獲得し決勝ではLMP2プロ・アマクラス優勝を飾ったクール・レーシングの37号車オレカ07・ギブソン
GTEクラス優勝&チャンピオンを獲得した80号車フェラーリ488 GTE Evoのマッテオ・クレッソーニ/リノ・マストロナルディ/ミゲル・モリーナ組

© 株式会社三栄