吉田正は単独、山本は4位、杉本は10位 25年ぶりVのオリックス、原動力はドラフト戦略

オリックスが1996年以来25年ぶりにパ・リーグ制覇【写真:荒川祐史】

32本塁打の杉本は15年10位、“投手5冠”濃厚の山本は16年4位指名

オリックスは27日、1996年以来25年ぶりにパ・リーグを制した。イチロー氏を擁して頂点に立ってから苦節四半世紀。翌97年から昨年までの24年間で9度も最下位(Bクラス19度)に甘んじてきた球団がV字回復を果たした原動力は、近年のドラフト戦略といっても過言ではないだろう。ソフトバンクとのデッドヒートに敗れた2014年以降の指名選手を検証する。

2014年1位の山崎福也投手は自己最多の8勝(10敗)を挙げた。2位の宗佑磨外野手は三塁の定位置を掴み、初めて規定打席に到達。打率.272、9本塁打、42打点をマークした。3位の佐野皓大外野手の足のスペシャリストとして活躍する。翌2015年1位の吉田正尚外野手は2年連続首位打者を確実にしている。10位指名の杉本裕太郎外野手は今季大ブレーク。32本塁打はリーグトップだ。

2016年1位指名の山岡泰輔投手は2019年に最高勝率のタイトルを獲得。今季は右肘痛で離脱したが、3勝を挙げている。さらにエース山本由伸投手を4位で指名。今季は18勝5敗、防御率1.39で防御率、勝利、奪三振、勝率、完封の“投手5冠”を確実にしている。6位の山崎颯一郎投手は右肘手術を経て2勝を挙げた。

2017年1位の田嶋大樹投手は8勝をマーク、2位のK-鈴木投手は34試合登板、3位の福田周平内野手は中堅の定位置を得て打率.275と気を吐いた。2018年指名選手では4位の富山凌雅投手がチーム最多の51試合登板で20ホールドをマーク。育成1位の漆原大晟投手は34試合に登板。1位の太田椋内野手は53試合で3本塁打と、将来の主軸として成長を遂げている。

2019年は高校生、宮城&紅林に着目したドラフト戦略は見事

2019年も大成功を収めた。1位の宮城大弥投手、2位の紅林弘太郎内野手は高卒2年目にして主力に。宮城は13勝&防御率2.51の活躍で、遊撃手の定位置を手にした紅林は136試合出場、打率.228、10本塁打をマークした。昨年も3位まで高校生を指名。3位の来田涼斗外野手は23試合に出場して大器の片鱗を見せた。1位の山下舜平大投手、2位の元謙太外野手も将来の中心選手として期待されている。

この間、山崎福、吉田正、山岡を単独で1位指名。2018年から昨年までは競合していずれもくじを外したが高校生を1位指名し、既に宮城が戦力になっている。加えて4位の山本がエースとして君臨し、10位の杉本がブレーク。1位指名選手が期待通りの活躍を見せ、下位指名でも戦力が生まれ、優勝できるだけの布陣が揃った。今年のドラフトでは1位の椋木蓮投手ら4位までが大学生。高校生は計10人(支配下7人、育成3人)の指名選手の内、5位の池田陵真外野手だけだった。

ソフトバンクとの激闘に敗れてから、チームはBクラスに低迷。しかし、その5年間のドラフトで獲得した選手たちが躍動して掴んだVでもある。これらの選手が近い将来、どんな働きを見せるか注目される。(Full-Count編集部)

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