外国人技能実習生の資格取得支援 西海市内で無料の日本語教室開始 県中小企業ビジネス支援協同組合

日本語講師(右)の問い掛けに答える技能実習生(左)=西海市、西彼教育文化センター

 外国人技能実習生の受け入れ監理団体、長崎県中小企業ビジネス支援協同組合(西海市西彼町)は今月、県の補助事業として、無料の日本語教室を始めた。同組合の坂口範雄代表理事(70)は、日本語資格取得をサポートすることで「就業意欲があるベトナムやカンボジアの若者に『日本に行くなら長崎へ』と選ばれる良好な環境を整えたい」と話している。
 10日、市内の西彼教育文化センターに東南アジア出身の女性15人が集まった。
 「マスクをしていると唇の動きが見えない。声だけでは、相手が話している言葉が分からないことがありませんか」との講師の呼び掛けにうなずく受講生。20代中心で、いずれも市内の食品加工やクリーニング業で働いている。
 この日は来年1月まで月3回ペースで開く教室の初回で、自己紹介のほか、無料配布されたテキストの説明があった。受講生は日本語検定で中級に相当する「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルの「N3」の取得を目指す。
 カンボジア出身のタング・スレイトッチさん(28)はすでに、11月に別の日本語検定を受ける。「1人で勉強するよりも面白くて、役に立った」と目を細め、「文法や読解のテキストを頑張りたい」と話した。教室終了後には職場が異なる実習生同士が語り合う姿も見られた。
 同組合は県内の縫製業者の協同組合として2001年に発足。18年前から外国人の受け入れを始めた。現在、食品製造や建設、縫製、介護など32事業者が加盟。これまでに約1500人が来日した。
 技能実習生の就業期間は最大で5年。坂口代表理事によると、期間満了後も日本で就労できる「特定技能」への移行に向け日本語力の向上は不可欠。また、母国に帰国した場合も、言葉や日本での就労、生活の経験値が高ければ、通訳業や日系企業、団体への就職など「キャリアの幅が広がる」と説明し、「長崎で働くメリットとして東南アジアの現地でPRしたい」と話す。西海市での教室を皮切りに、今後、長崎や佐世保などでも教室を開く。
 坂口代表理事は「検定取得を通して、実習生に日本人の友達ができれば、さらに会話が上達する。地域活動や行事に参加するきっかけになれば」と期待を寄せている。

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