北朝鮮 台湾問題で中国全面支持 米国を非難

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金正恩総書記からの献花が飾られる中国人民志願軍烈士陵園。10月26日付・労働新聞(提供 コリアメディア)

北朝鮮が台湾問題に異例の言及

 10月25日は朝鮮戦争(1948~53年)に中国人民志願軍が朝鮮戦争に参戦した記念日であったことも重なり、北朝鮮メディアは最近、連日のように緊密な中朝関係を強調している。米国に対しては対朝鮮敵視政策および二重基準の撤廃を求めるなどけん制を続けているのと対照的である。

 その中で、北朝鮮外務省は22日、米中間で対立が深まる台湾問題について、米国の台湾政策を「内政干渉」と非難し、中国への全面支持を表明した。北朝鮮はこれまで台湾問題にほとんど言及してこなかっただけに注目すべき内容となった。

北朝鮮「台湾は中国の一部」

 北朝鮮外務省の朴明浩(パク・ミョンホ)外務次官名義は22日に談話を発表。ジョー・バイデン米大統領が21日の対話集会で、台湾が中国に攻撃された場合には「米国は台湾を防衛する責務がある」と発言してすぐのタイミングとなった。

 談話は、「米国が最近、中国の不可分の領土である台湾の独立をあおり立てながら軍事的緊張を高めている」「台湾は中国の一部であり、台湾問題はすべて中国の内政に属する問題」と指摘し、米国の台湾政策は中国に対する内政干渉であると批判しているのだ。

 その上で、「台湾の情勢は、朝鮮半島の情勢と決して無関係ではない。台湾問題に対する米国の無分別な干渉は、朝鮮半島の危うい情勢緊張をさらに促しかねない潜在的な危険性を内包している」「米国が自らの覇権的地位を維持するため、社会主義国家である我が国と中国を圧殺しようと企んでいる」と主張。

 このように、談話では「米国の圧力を受ける中朝」という構図を強調している。

「中国全面支持」宣言も対米非難は抑制的

 バイデン大統領は台湾防衛の意思を表明したが、台湾有事の際に北朝鮮はどのように行動するのか。

 1961年締結の「中朝友好協力相互援助条約」では、「いずれか一方の締約国がいずれかの国または同盟国家群から武力攻撃を受けて、それによって戦争状態に陥ったとき、他方の締約国は直ちに全力をあげて軍事上その他の援助を与える」(2条)と規定されている。

 条約上、中国の一部と主張する台湾をどのように扱うのかは不明であるが、中台が軍事衝突に至った場合には、北朝鮮は中国を直接的または間接的に援助することになると考えられる。

 もっとも、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が10月11日の演説で他国との戦争の意思を否定しているように、米国との軍事衝突は望んでいないだろう。今回の外務省談話も、「情勢安定のために米国が自制すべき」と非難しているだけで、好戦的な言葉は避けられている。あくまで、「米国が中国に内政干渉している」という主張にとどまった。

 国際社会で台湾の国連機関参加などの議論が活発化する中で、北朝鮮の立場(中国の全面支持)を表明することが今回の談話の主目的であったと言える。

北朝鮮と台湾の関係は良好

 実際のところ、北朝鮮と台湾は、そもそも敵対関係にない。

 北朝鮮は当然、台湾と正式な国交を結んでいないが、国連制裁で制限を受けるまでは台湾との間で盛んに貿易が行われていた。韓国が1992年に中国との関係を重視して台湾と断交したことで、台湾が北朝鮮に急速に接近したこともあり、両国の関係は良好であった。

 ただ、北朝鮮としては当然、中国の方針に歩調を合わせることになり、対台湾政策も中国の方針にならうことになるだろう。

八島 有佑