北朝鮮でも「イカゲーム」流行? 韓国批判でたびたび引用「続編が制作されるなら...」

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動画配信の世界最大手、米ネットフリックスで大人気の韓国ドラマ「イカゲーム」は、北朝鮮当局者も熱心に視聴しているようだ。

北朝鮮では一般市民は国営メディアしか見られないことになっているが、対外宣伝サイトではイカゲームの話題を複数回にわたって取り上げ、ドラマが「弱肉強食と不正腐敗が大手を振って、非人間的行為が日常化した」韓国社会の実像を現しているなどとして、攻撃の材料にしている。

特に、大統領選の予備選をめぐる中傷合戦を引き合いに、政治家がドラマの「本当の主人公」とまで指摘している。19~20年にかけてネットフリックスで配信開始した「愛の不時着」は、中朝国境の密輸を通じて、密かに北朝鮮でも見られているという証言もある。「イカゲーム」も北朝鮮に浸透する可能性がありそうだ。

全世界で1億1100万人が視聴

「イカゲーム」は、事業に失敗するなどして金銭に困った456人が集められ、456億ウォン(約43億円)をかけてサバイバルゲームを繰り広げるストーリー。「だるまさんがころんだ」「綱引き」といった子どもの遊びでも大量の犠牲者が出るショッキングな内容だ。

配信は9月17日に始まった。10月13日のネットフリックス公式アカウントのツイートによると、この日までに全世界で1億1100万人が視聴するほどの人気ぶりだ。

視聴者の一部には、北朝鮮当局者もいるようだ。北朝鮮の対外宣伝サイト「メアリ」(朝鮮語で「こだま」の意)では、これまで3回にわたってイカゲームの名前を挙げて論評記事を掲載している。

イカゲームが登場する記事で最も新しいものは、10月25日に「『イカゲーム』の本当の主人公」と題して配信された。22年3月の韓国大統領選の候補者を決める与野党の予備選で、候補者間の中傷合戦が過熱していることについて「血みどろの戦いが繰り広げられている」として、その戦いぶりは「国際社会の非難と糾弾を呼んでいるドラマ『イカゲーム』の主人公たちも色あせるほど」だと表現した。

ストーリーの内容も把握しており、ドラマと大統領選の共通点を

「ばく大な借金を抱えた人生の落伍者らがただ巨額の賞金のために人間性を失って他人を害することに没頭するのも、権力に狂った政治家たちが大統領選挙のために猛獣のように吠え合うのも同じ」

だとして、「『イカゲーム』の本当の主人公は与野党、政治家らになるべきだ」などと主張。さらに、制作がうわさされる続編にも期待してみせた。

「もし『イカゲーム』のシーズン2が制作されるならば、その舞台を今日の大統領選の政局に合わせて、絶対的な権力を獲得するという血なまぐさいゲームに熱中する政治家たちを主人公にすべきだ。そうすれば、シーズン1のシナリオで不足した色々な部分を補完することができるだろう」

「非人間的行為が日常化した南朝鮮社会の実像を暴露するテレビドラマ」

最初にイカゲームの関する記事が「メアリ」に登場したのが10月12日。「南朝鮮社会の実像を暴露するテレビドラマ『イカゲーム』人気」の見出しで、ドラマを

「最近、弱肉強食と不正腐敗が大手を振って、非人間的行為が日常化した南朝鮮社会の実像を暴露するテレビドラマ『イカゲーム』が放送され、視聴者の人気を集めているという」

などと紹介し、ドラマの人気の理由を

「極端な生存競争と弱肉強食が蔓延した南朝鮮と資本主義社会の現実をそのまま掘り下げたからだという」

と説明した。

その次が10月19日。「南朝鮮テレビドラマ、世界中の子どもたちに悪影響 保護者と学校当局が驚愕」と題して配信した記事では、イカゲームを「弱肉強食・資本主義社会の生存法則を説教する内容で製作されたテレビドラマ」と表現。子どもがドラマ中の暴力行為をまねするおそれがあるとして、

「世界各国の学校では視聴しないことを勧めており、保護者に注意を求めているが、対応できていないという」

と伝えている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)