ソニー第2四半期も増収増益、PS5は1,340万台突破。台湾TSMCと連携強化

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ソニーグループは10月28日、2021年度第2四半期の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比13%(2,642億円)増の2兆3,694億円。営業利益は、同1%増(32億円)の3,185億円となり、第2四半期の業績としていずれも過去最高を更新した。

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS;)分野の大幅増収が売上高に寄与。アニメ・モバイルゲームアプリを含む音楽分野、映画分野、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S;)分野も増収となっている。

税引前利益は、主に有価証券評価損益の悪化により、同7%減の2,831億円。純利益は一時的な影響として、繰延税金資産の評価減2,143億円の戻入れを実施した前年度から同54%減の2,131億円となった。

2021年度の通期業績見通しについては、8月時点の発表

から売上高を2,000億円プラスの9兆9,000億円に、営業利益は600億円プラスの1兆400億円に、純利益は300億円プラスの7,300億円にそれぞれ上方修正している。

分野別で見ると、EP&S;分野の上方修正幅が最も大きい。2021年度はデジタルカメラの販売台数の減少を見込むため、同分野の売上高は前回の見通しから2%下方修正するものの、テレビの販売増やデジカメの製品ミックスの改善、コスト削減などにより、営業利益予想を200億円プラスの1,900億円に上方修正した。

PS5供給不足に「引き続き最大限努力」。ソフト開発強化も

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS;)分野は、PlayStation 5(PS5)のハードウェアや自社制作以外のゲームソフトウェアの販売増加が貢献し、売上は前年同期比27%(1,388億円)増の6,454億円と大幅増収になった。一方で営業利益は、主にハードウェアや周辺機器での損益悪化により、同227億円減の827億円と大幅減益になった。

ソニー副社長 兼 CFOの十時裕樹氏は、第2四半期におけるゲームソフトウェアの売り上げがアドオンコンテンツの売上増に牽引され、巣ごもり需要が大きかった前年同期を上回ったと説明。PSユーザの総ゲームプレイ時間は前年同期を17%下回ったが、その中でアドオンコンテンツ売上が前年同期を上回ったことについては「ユーザエンゲージメントの質の高まりを示すものとして、ポジティブに捉えている」と話した。

また十時氏は、自社制作ソフトウェア「Horizon Forbidden West」(2022年2月18日発売予定)や、「グランツーリスモ7」(2022年3月4日発売予定)に加え、自社制作以外でも大型タイトルの発売が下半期に予定されているとアピール。さまざまなゲームを楽しんでもらうことで、ユーザーエンゲージメントがさらに高まることに期待を寄せた。

PS5本体については、2020年11月のからまもなく1年が経とうとしているが、十分に供給されず入手困難な状態が依然として続いている。

十時氏は「現時点で今年度の販売台数目標(1,480万台以上)は変えていないが、全世界的な物流の混乱や、半導体を中心としたデバイスの供給制約などの影響が大きくなってきている。PSプラットフォームのモメンタムを維持し、PS5をお待ちいただいている皆様の期待に添えるよう、引き続き最大限努力する」とコメント。報道陣との質疑応答の中でも、「我々としてはできるだけ早く、1台でも多く(PS5を届ける)ということを心がけている」と話した。

なお、ソニーは第2四半期のPS5の出荷台数が全世界で330万台となったことを、今回の業績発表に合わせて公開した補足資料の中で明らかにした。これにより、累計販売台数は1,340万台に達したことになる。

ソフトウェア開発力のさらなる強化に向け、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は9月以降、英Firesprite(ファイアスプライト)、および米Bluepoint Games(ブルーポイントゲームズ)の買収を発表している。両社はこれまでもSIEのゲームソフトウェアの開発に貢献しており、今後はPlayStation Studios全体の開発力の底上げと、PC/モバイル向けゲームの展開に必要なノウハウなど、横展開を進めていく。

2021年度に入って発表したこれらの買収により、PlayStation Studiosは2021年度初めから4スタジオ増えて16スタジオとなり、開発人員数も2割程度増加。今後も開発力強化のための積極的な投資を進めるという。

ストリーミング増収が音楽売上に貢献。映像配信にも注力

音楽分野の売上高は、有料会員制ストリーミングサービスからの収入増加などが貢献し、前年同期比18%(407億円)と大幅増の2,716億円となった。営業利益については増収効果はあったものの、海外での事業譲渡に伴う一時的な利益(59億円)が前年度にあったことの反動で、37億円減の506億円となった。なお、モバイル向けゲームアプリやアニメを含む映像メディアプラットホームからの第2四半期の利益貢献は、同分野の営業利益の2割台半ばに達した。

第2四半期におけるストリーミング売り上げは、前年同期で音楽制作が38%増、音楽出版が47%増と高い成長を継続している。ストリーミング市場の拡大が顕著な海外の音楽事業を束ねる、ソニーミュージックグループの2021年度の営業利益は5年連続で過去最高を更新する見込み。アーティストの発掘・育成を強化してきたことで継続的にヒットを創出しており、第2四半期においてはSpotifyのグローバル楽曲ランキング上位100曲に平均して38曲がランクインしているとのこと。

映画分野については、主にテレビ番組制作やメディアネットワークでの増収により、前年同期比40%と大幅増の2,607億円となった。営業利益は増収効果はあったものの、劇場再開に伴う広告宣伝費の増加などにより、同12億円減の316億円となっている。

米国を中心に大型作品の劇場公開が徐々に再開されており、10月に公開した映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は公開後3日間での米国内での興収が約100億円となり、コロナ禍における最大のオープニング成績を達成したとしている。

今後も『ゴーストバスターズ/アフターライフ』や『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』など、ソニーがもつ人気IP作品が劇場公開を控えている。一方で、コロナ禍において多くの観客動員が見込みにくいファミリー向け作品については、動画配信事業者へのライセンスに切り替え、2021年度に収益化する予定。こうした柔軟なリリース戦略により、市場環境の変化に対応していく。

十時氏はこのほか、有料テレビ放送事業やデジタル配信サービスが成長しているインドにおいて、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)の事業を積極的に拡大することや、アメリカのアニメ専門配信サービス「Crunchyroll(クランチロール)」の買収を完了し、海外における日本アニメの配信事業をさらに強化する方針であることも説明した。

スマホ好調、製品ミックス改善でエレキは増収増益

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野(EP&S;分野)の売上高は、主に為替の影響やスマートフォンの増収により、前年同期比で9%(485億円)増の5,819億円となった。営業利益は増収効果に加え、テレビ、デジカメカメラ、オーディオ・ビデオの製品ミックス等の改善により、193億円の大幅増益で727億円となった。

第2四半期は東南アジア圏で新型コロナウイルス感染症が再拡大したことから、ソニーの工場の稼働や部品供給に制約が発生。一部商品では十分に需要に応えられなかったものの、価格の維持と高付加価値モデルへのシフトによって高い収益性を維持したという。

テレビ製品では今後、パネル価格の急激な下落による、製品市場価格への影響が現れると見込んでおり、市場の推移を見極めて対応するとしている。半導体を中心としたデバイスの供給制約も顕在化しており、そのリスクを通期見通しに反映している。

減収減益のセンサー事業。TSMC新工場立ち上げに協力へ

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS;)分野は、モバイル機器向けイメージセンサーの減収などで売上高は前年同期比9%(288億円)減の2,783億円。この減収などを受け、営業利益は10億円減の497億円となった。

十時氏は、モバイルセンサーについては「軟調な中国スマホ市場や、半導体全般の供給逼迫、東南アジアでのスマホの完成品、部材の生産遅延などの影響はあるものの、為替の好影響と費用の抑制などにより、2021年度の業績見通しに大きな変更はない」とコメント。

一方で、AV・産業機器向けイメージセンサーについては「デジタルカメラ市場の回復や工場の自動化ニーズの高まりなどを受け、想定を上回るペースで市場が拡大している。モバイル用途と比べて安定した市場であり、収益性も高い」として、I&SS;分野の収益安定化への貢献に期待を寄せた。

十時氏は会見の中で、台湾TSMCや経済産業省と協議し、TSMCが

ソニーは、イメージセンサー製造工程のうち、ロジックウエハー生産のほとんどを外部委託しており、「長期にわたる世界的な半導体不足が予想される中、ロジックウエハーの安定調達は重要な事業課題」(十時氏)。報道陣から具体的な出資等に関して問われた十時氏は明言を避けたが、「世界最先端の半導体技術を持つTSMCとのパートナーシップを深めることは、ソニーにとって大いに意義があるものと考えている」としている。