ミツビシ、新型アウトランダーPHEVを正式発表。電動化×四輪制御技術の粋を集めた旗艦SUV

 10月28日、三菱自動車は新型『アウトランダー』のプラグインハイブリッドEV(PHEV)モデルをフルモデルチェンジし、12月16日(木)より全国の系列販売会社を通じて発売すると発表した。

『ミツビシ・アウトランダー』は2001年に初代がデビューした、ミツビシ初のクロスオーバーSUV。国内では当初『エアトレック』の名で販売された。登場以来、3世代にわたってグローバル展開され同社の中核モデルを担ったきたアウトランダーは、先代にあたる3代目においてプラグインハイブリッドモデルがラインアップに加わり、世界規模でPHEVカテゴリーを牽引するモデルとなった。

 そんなアウトランダーのPHEVモデルがフルモデルチェンジを受け、第4世代に進化した。“威風堂堂”をコンセプトにボディやシャシー、パワートレインなどすべてが刷新された新型では3列シートで7人乗りを実現するグレードも登場。力強い走りや、ゆとりのある居住性と多彩な使い勝手といったSUVとしての魅力が大幅に向上した。

 そのなかのひとつが新世代のPHEVシステムだ。“より力強く”、“より遠く”を実現した独自システムでは、フロントとリヤの電気モーター、駆動用バッテリーの出力が約40%高められた。

 これにより2.4リットル4気筒ガソリンエンジンを極力始動させずにEV走行の維持が可能となり、高出力なツインモーター4WDならではの滑らかで力強く、気持ちの良いモータードライブを実現する。同時に駆動用バッテリーの総電力量が20kWhへと大容量化されており、EV走行換算距離が87km(WLTCモード)に引き上げられている。

 新たな試みとしては、フロントモーターのパワードライブユニットに昇圧機能が採用された。供給電圧を高めることで強力な駆動力を発揮するだけでなく、ジェネレーターの発電効率も高め、電費の低減にも貢献するという。

 また、アクセルペダルだけの操作で加減速することが可能になる“イノベーティブペダル・オペレーションモード”が新たに設定された。このモードでは減速時にブレーキペダルに踏み替える必要がなく、ステアリング操作に集中できるだけでなく、踏み変えが減ることで疲労を軽減するメリットがある。

 新型アウトランダーPHEVが持つ特長のふたつめは、ミツビシがWRC世界ラリー選手権などモータースポーツへの参戦を通じて培ってきた四輪制御技術だ。同社は先代のPHEVモデルで、ツインモーター4WDと車両運動統合制御システム“S-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)”を組み合わせた、優れた電動化システムを構築。あらゆる天候や路面状況で安全・安心で快適な走りができる電動四駆SUVの扉を開いた。

 今回登場の新型では、そのシステムに新たに後輪側にもブレーキAYC機能が追加されるなど、さらに進化を遂げた。具体的には、左右輪のブレーキ制御によるトルクベクタリングも前後輪ですることが可能になり、四輪すべてのタイヤのパフォーマンスをいっそうバランスよく、最大限に引き出すことができるようになっている。

20インチの大径ホイールを装着。それを包み込む筋肉質なフェンダーフレアを採用した
前後2基のモーターで力強く伸びのある走りを実現する。大容量化が図られたバッテリーは床下に搭載。エンジンは2.4リットル4気筒MIVEC
1500WまでのAC電源が利用でき、バッテリーが切れてもエンジンで発電できるため、万が一の災害時にも頼れる1台となる
S-AWCに、新たに後輪側にもブレーキAYC機能を追加。あらゆる天候や路面状況で安全・安心で快適な走りを実現した
駆動用バッテリーを総電力量を20kWhと大容量化し、EV走行換算距離は87km(WLTCモード)に伸びた

■路面状況と走行シーンに合わせて選べる7つのドライブモードを用意

 ドライブモードは路面状況や走行シチュエーションに合わせた計7つのモードが用意された。基本は“ノーマル”で、クーペスタイルSUV『エクリプスクロスPHEV』にも採用された“ターマック”では、キビキビと加速するアクセルレスポンスと高い旋回性を発揮する。

 未舗装路や濡れた舗装路では操縦性と走破性をバランスさせた“グラベル”が、雪道では“スノー”、ぬかるみや新雪でのスタック時には“マッド”が優れた脱出性を発揮する。これら路面状況に応じたモードのほか、力強い加速が必要な場合に有効な“パワー”や、環境に優しく経済的な“エコ”といった運転スタイルに合わせたモードも用意されている。

 運転支援システムでは、衝突リスクを複数のセンサーで事前に検知し、安全なドライビングをサポートする最新の運転支援機能“e-Assist”を採用したほか、レーダークルーズコントロールシステム(ACC)と車線維持支援機能(LKA)を統合した、高速道路同一車線運転支援機能『MI-PILOT』を搭載。さらに、安全・安心で快適なドライブをサポートする“MITSUBISHI CONNECT”も採用された。

 エクステリアはミツビシ独自の“DYNAMIC SHIELD(ダイナミック・シールド)”を新世代化させ、堂々した存在感のあるフロントデザインに。サイドでは20インチの大径ホイール、それを包み込む筋肉質なフェンダーフレアを採用。さらに、飛行機の垂直尾翼をモチーフにしたDピラーとフローティングルーフによって、力強く軽快な走りをイメージする造形が与えられた。
 
 一方のインテリアでは、走行時の車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調で力強い造形のインストルメントパネル“HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)”が進化し、より芯が通った力強さと開放感が表現されている。また上質さにもこだわり、触感がよく質感の高いソフトパッドが随所に採用されたほか、スイッチ類は操作時の節度感にフォーカスした“MITSUBISHI TOUCH(ミツビシ・タッチ)”という考え方に基づいてデザインされ、視覚だけでなく触覚にも訴える上質さが実現しているという。
 
 グレードは5人乗りの“M”と5人/7人乗りの“G”、最上級の7人乗り“P”の3種4通り。車両価格は462万1100~532万700円(税込)となっている。

2021年10月28日に正式発表されたミツビシ新型アウトランダーPHEV
水平基調のインテリアが採用された新型アウトランダーPHEVのコクピット
新型アウトランダーPHEVのメーター
電子セレクターと円形のドライブモードセレクター
三菱自動車 加藤隆雄社長は新型アウトランダーPHEVについて、「環境にやさしく気持ちのよい走りを実現する電動化技術、どんな天候や路面でも安全・安心で快適に楽しめる四輪制御技術で、お客様のカーライフがさらに楽しく充実したものになるよう、お手伝いができるものと思っています」と述べた。

■新型ミツビシ・アウトランダー 車両情報:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/outlander_phev/special/

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