巨人は“リーグワースト”の投手陣 データで見る「本当の投手力」に優れた球団は?

巨人・戸郷翔征、菅野智之、高橋優貴(左から)【写真:荒川祐史】

守備から独立した失点率を示す指標「tRA」で見ると…

野球を客観的に分析する手法として定着してきたセイバーメトリクス。その指標の中に「tRA」というものがある。守備の関与しない与四球、奪三振、被本塁打の3項目に加えて、どのような種類の打球を打たれたかまでを投手の責任範囲として、守備から独立した投手の失点率を推定、評価する指標だ。これにより、野手の守備から切り離された投手の力が見えてくる。(数字は27日終了時)

では、この「tRA」を用いてセ・リーグで真に優れた投手力を持つ球団を見ていこう。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを参照した。セ・リーグのチーム防御率は中日(3.22)、阪神(3.30)、ヤクルト(3.45)、巨人(3.63)、広島(3.85)、DeNA(4.13)の順になる。

セ・リーグは「tRA」で見ても、上位3球団の顔ぶれは防御率と変わらない。1位は中日の3.68で、2位は阪神の3.70、3位はヤクルトで3.87となる。中日は守備指標の「UZR」も12.3とリーグ2位。守備も優秀ながら、そこから切り離された「tRA」でもトップとなっており、ディフェンス面はトータルで優れていることが分かる。

阪神は課題とされている守備から切り離された「tRA」でもリーグ2位。ジョー・ガンケル投手が70投球回超の投手でリーグトップの「tRA」を残しており、最多勝を確実にしている青柳晃洋投手が11位に。ヤクルトは奥川恭伸投手、高橋奎二投手が10位以内に入っている。

だが、4位はリーグ最下位のDeNAになる。防御率は12球団ワーストで唯一の4点台となる4.13だったが、tRAは4.01。両リーグ通じてワーストの「UZR」-27.0を叩き出した守備陣により、投手の防御率が悪化したと言えそうだ。5位は広島の4.09。チーム「UZR」が-22.1と悪かったが、5位は変わらず、投手力には改善の余地がありそうだ。

意外なことに、ワーストとなったのは巨人だ。チーム防御率3.63はリーグ4位だったものの、守備から切り離された「tRA」は4.11になる。541四死球はリーグ最多、139被本塁打はリーグ5位、さらにチーム「UZR」19.5はセ・リーグトップ。優れた守備力に投手陣がかなり助けられていたということになり、「tRA」で見ると、巨人投手陣はセ・リーグでワーストだったということになる。(Full-Count編集部)

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