大きな大きな「アリガトウ」…50年間の感謝を込めて最後の雄姿 品川駅前で

今年3月に閉館した品川駅前の商業施設「シナガワグース」が感謝の気持ちを伝えようと“最後のメッセージ”を掲げています。見に来た人たちからは思い出の言葉があふれています。

雨が降る中、品川駅前で人々がカメラやスマートフォンを向けて撮影しているのは、建物全体を使って描かれた「アリガトウ」のメッセージです。これは3月に閉館した「シナガワグース」が利用者に感謝の気持ちを伝えたいと企画されました。京急電鉄・品川開発推進室の金子正輝さんは「50年間この街の変遷を見守ってきた。たくさんのお客さま、地域の皆さまに支えられてここまでやってこられたと考えているので、感謝の気持ちをパブリックな形で発信したいと思い、今回の企画を考えた」と話します。アリガトウの「窓文字」の設置は京急電鉄の若手社員20人ほどが旧客室などの窓にピンクの用紙を丁寧に貼り、3時間ほどかけて完成させました。

シナガワグースの前身は京急電鉄が社運を懸けて建設した「ホテルパシフィック東京」です。地上29階・地下3階の建物にはレストランや結婚式場もあり、多くの人が思い出を共有しました。この日、メッセージを撮影しにやって来た人たちからはさまざまな思い出話が聞かれました。メッセージを撮影に来た人の中には「何回も泊まったホテルなので寂しい」と話す人や、「(かつてホテルパシフィック東京で)2年間働いていたが、閉館とともに違うところに移った。品川に行けばいつもあった建物なので、寂しい。心にぽっかり穴が空くだろうと思っています」と話す女性、そして「主人と初めて会ったのがこのホテル。懐かしい。『アリガトウ』と掲げられていると聞いたので慌てて飛んできた。なくなってしまうのは残念」と話す夫婦の姿もありました。

たくさんの思い出が詰まった「シナガワグース」に感謝しつつ、京急電鉄の担当者は次に建てる建物も"みんなに愛される施設”にしたいと語ります。品川駅前から眺められる「アリガトウ」のメッセージは10月29日まで貼り出されていて、現在の建物は11月以降取り壊しが始まる予定です。

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