住宅密集地での大規模火災を防ごうと、横浜市西消防署は独自に開発した「延焼防止用器具」の運用を始める。ホースの先に特殊ノズルを取り付けることで、地面に置くだけで自動的に放水を続けられる。消防隊員らの安全を守るとともに、効率的な配置にもつながるとして期待される。
器具は長さ約70センチ、重さ約10キロ。飯島俊朗副署長が業務の合間を縫って開発を手掛けた。
器具を火元に隣接する建物脇などに複数台設置し、噴霧した水で高さ12~13メートルほどの幕を張って延焼や飛び火を防ぐ。通常の放水活動にも使用でき、延焼しそうな家屋に集中して水を掛け続ける用途などもある。
火災の現場では火元の消火と延焼防止が活動の2本柱だ。しかし、同消防署が管轄する横浜市西区は住宅密集地が多く、狭い路地での延焼防止活動は熱や煙、落下物などの危険と隣り合わせという。
この器具を使えば、無人で長時間の放水が可能となり、隊員らの安全確保につながるほか、火元の消火に人員を集中投入できるメリットがある。