日本ハム・新庄監督は「短命政権」か 師匠・柏原純一氏が語る “新庄劇場”への期待と可能性

実は指導者向き?の日本ハム・新庄新監督(東スポWeb)

日本ハムの次期監督に球団OB・新庄剛志氏(49)の就任が決まり、29日に球団が発表した。2006年に現役を引退して以来、16シーズンぶりのNPB復帰となるが、海外での生活などで久しく球界から離れていたブランクは大丈夫なのか。そして、どんな野球をするつもりなのか。新庄氏が「師」と慕う、野球評論家の柏原純一氏は〝新庄劇場〟に大きな期待を寄せつつも「スパっと身を引くこともある」と〝短命監督〟となる可能性も指摘した。

【柏原純一「烈眼」】新庄が監督と聞いて「えーっ」と思った。3年連続Bクラス、中田翔の問題、再来年の新球場のことなど、本社がいろんなことを考えてのことだろう。新庄は米国から帰って日本ハムに入り、その後に活躍してチームを強くしたことを思えば、球団としてはほしかった人材なんだろう。

彼とは阪神時代にコーチと選手の立場で接したが、あまり練習しているところを見せないタイプだった。若いころは付きっ切りでやらせたこともあった。素直で指導するのに手がかからず、能力はまだまだでも肉体的、精神的にはタフだった。ああしろ、こうしろ、というよりホメた方が伸びるタイプだったね。

米国を経て帰ってきた時「メジャーでは試合ばかりで練習ができなかった。もっと練習したい」と言っていた。それに「お客さんを大事にしたい」と。阪神のころのイメージとはだいぶ変わっていたね。北海道、プロ野球を盛り上げたいという気持ちが伝わってきた。2004年に日本球界再編でもめて、ストライキがあった。新庄が日本ハムをパフォーマンスで盛り上げたのもそのころ。彼は世間のプロ野球に対するイメージを明るく変えようとしていたし、球界を救ってくれたんだな、と思う。

監督となると今の日本球界にあのキャラクターはどうなんだ、という声はあるだろう。でも、今季の終盤に10連敗した巨人にしても、低迷する日本ハムにしてもそうだけど、新庄みたいな存在が起爆剤になる。選手を乗らせる、やる気にさせる雰囲気作りができる。変われる要素になりうる。彼は日本の野球を変えようとしている。

野球に対する考え方も彼のSNSを見ているとすごく細かい。選手としては華やかさでかっこよさが目立っていたけど、野球をいろんな方向から見ている。相手の肩を考えた走塁もできる。僕のユーチューブに彼が出てくれた時「お前の野球の見方は指導者として生きるぞ」と言った。本人も色気は持っていたね。

采配や起用法で型にはまることはない。日本ハムはフロント主導なので窮屈になると、新庄の良さが出なくなる。自由人、自由な発想の彼らしい野球をやってほしい。らしい野球ができなくなることが心配だよ。好きなようにやって先が見えないようなら、彼の性格を思えばスパっと身を引くと思う。最下位になっても翌年、巻き返せるというのを感じることもあるからね。

米国でファンの大切さを感じ、ファンを引き付けることは常に考えると思う。頭の中で描いていることもあるだろうし、それがビックリ箱みたいになるのか、意外と真面目な野球になるのかはわからない。新庄劇場に期待したい。たとえ球界で浮いた存在になったとしても彼は何とも思わないだろう。少なくなった若い女性ファンを増やす起爆剤にもなるし、昔のイチローや大谷のようにビジターチームもお客が増えるような、型破りなものを見せてほしい。(野球評論家)

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