8年ぶりのBクラスに沈んだソフトバンクが新体制での巻き返しを図る。二軍監督からの昇格となった藤本博史監督(57)が29日にペイペイドームで就任会見を行った。
「今まで常勝軍団という形できている。藤本になって弱くなったと言われたくない。ひとり一人が一つの目標に向かって進んでいけるようなチームを作り、そして明るくやっていきたいと思います」と所信表明した。
そんな新監督には強力なバックアップ体制が敷かれている。今回、同時に発表されたのが王貞治球団会長(81)の事実上の〝現場復帰〟だ。新たに特別チームアドバイザー職に就くことになり、藤本新監督や首脳陣、選手にグラウンド目線で熱くアドバイスを送っていくことが決まった。キャンプ期間やビジターの際の帯同も今まで以上に多くなる見込みだ。
王会長は「要するに試合でどうするかというのが一番大事。練習をどれだけ長時間やっても、結果がともなわないとプロとしては評価されない。能力の割にうまく(結果が)出ていない人が多い。技術的なことはコーチが教えてくれるが、それプラス試合でどうするかという部分を彼らに伝えていきたい」と話した。
チームの再建に並々ならぬ思いを抱いている。当然ながら「球団会長」との兼務となったが、王会長自身には特別チームアドバイザーに専念する意思さえあったようだ。現在のチームは世代交代の過渡期を迎えている。これまでも折に触れて選手に熱心なアドバイスを送ってきたが、特に今季の後半戦はその頻度も劇的に増えてきていた。上林、リチャードら次世代を担う若手選手の覚醒に大きな期待を寄せている。
藤本監督にとっても頼もしい存在となる。来季のチームは切迫した課題として、若手の育成が急務。ただ、同時に勝つことも求められる。そんな中で「フロントと現場の意見交換を今まで以上に頻繁にして、風通しを良くして進めていきたい」と話す王会長の存在は〝傘〟にもなる。新指揮官が周囲からの重圧に惑わされることなく、自らの信念を貫くこともできるはずだ。
来季に関して球団は「大事な1年。とにかく一丸となって戦っていかないといけないシーズン」と力を込める。王アドバイザーがチーム再建を強力に支えることになる。