衆院選長崎 終盤情勢 4区 佐世保が「決戦の地」

左から田中隆治候補、萩原活候補、北村誠吾候補、末次精一候補

 与野党が激しく競る長崎4区。自民前職の北村誠吾(74)は組織固めを徹底し、立憲民主新人の末次精一(58)は浮動票の上積みを狙う。両陣営は有権者数の約7割を占める佐世保市を「最終決戦の地」と位置付け奔走している。
 「私は岸田文雄首相の派閥。電話で直接お願いできる」。27日夜、北村は演説で官邸とのパイプをアピールした。
 閣僚時代の失言などが公認争いを招き、出遅れた。「浮動票を掘り起こす余裕はない」。陣営はこうみて、地域を練り歩く「桃太郎作戦」を控え、支援者向けの演説会や団体・企業回りに注力する。
 同じ岸田派で農相になった金子原二郎も頻繁に地元へ戻り、「火だるまとなれば勝てる」と県市議らに檄(げき)を飛ばす。ただ、陣営が熱望した岸田の応援は実現しなかった。歴代首相らが続々乗り込む1区とは対照的。陣営幹部は戸惑いを隠せない。「(党本部は)援軍なしで勝てると踏んだのか、見放したのか…」
 同日夕の総決起集会で、末次は声を張り上げた。「正念場。同志の皆さんのお力が必要です」。急な開催だったが数百人が集結。国民民主と社民の議員も顔を見せた。
 だが、いまだ内輪から不満が漏れる。過去4回衆院選に挑んだ経験で「セルフプロデュース」を貫く末次。党や労組の運動となじまず、党県連幹部は「戦略が組めない」と焦る。
 陣営は無党派層に照準を合わせる。「桃太郎」や街頭演説を重ね「1人でも多くの人に接することが勝負の分かれ目」と息巻く。さらに注目するのは前回、北村に敗れ、次期市長選を見据える県議、宮島大典の動き。本人は沈黙したままだが、保守層に一定の支持を持つだけに、自民側も関心を寄せる。
 無所属新人の萩原活(61)は市議時代の縁で支持拡大を図り、同新人の田中隆治(78)は夫婦で選挙カーに乗り政策を訴えている。=敬称略=

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