”リノベ”で若者の定住促進 築58年の家が一新 長崎市「住みよかプロジェクト」

高い天井が特徴的なリビングダイニング=長崎市岩見町

 若い世代が住みやすい住宅を供給し、若者や子育て世帯の市外への転出超過を食い止めようと長崎市が取り組む「住みよかプロジェクト」。この一環で民間企業が進めていた中古住宅のリノベーションが終わり、24日、完成披露会があった。
 市住宅課によると、子育て世帯の市民の間で「本当は市内に住み続けたい」という声は根強いが、価格の高さや物件の少なさから結婚や出産を機に近隣の市町に転出するケースが多いという。若者世代の市外流出抑制は市の重点課題だ。
 プロジェクト推進に民間のノウハウを活用しようと、市は今年から協力認定制度を開始。このうち、同市の不動産業、明生興産(尾上雅彦代表取締役)は「空き家の若者向けリノベーションによる供給」事業で認定を受けた。
 手掛けたのは同市岩見町の築58年の木造住宅。漆喰(しっくい)を用いた真っ白な壁が特徴で、眺めと日当たりがいい2階にリビングダイニングを配置。1階部分を店舗としても活用できるように玄関の位置を道路に面した場所に移し、銅版を用いたドアを使うなど外観にも、住みやすさにもこだわった。

リノベーション前の住宅(明生興産提供 写真左)、リノベーションされた築58年の家

 披露会には近隣住民や家族連れ、不動産関係者などが開場とともに次々と来場。以前の様子を知っている人からは「すごい」「見違えた」と声が上がった。
 今回のプロジェクトでは▽新築より価格面が抑えられる▽斜面地などに増えている空き家の活用につながる▽建設や不動産など地場企業を活性化できる-などの利点があるという。
 市はリノベーション事業のほか、▽住みよか協議会=住宅関連の地域課題解決に取り組む仕組み作りの場の設置(実施者・十八親和銀行)▽中心部等での若年・子育て世帯向け賃貸住宅の供給(同・福徳不動産)▽SDGsな子育て向け戸建住宅の供給(同・谷川建設)▽若い世代の住まい、ライフスタイルをアップデートする情報発信(同・コミュニティメディア出島メディアセンター)▽亀山社中スタートアップ=起業家支援シェアハウス(同・イグアス)の5事業も認定している。

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