コジマタケヒロのアルビ日記「責任と意識 谷口海斗選手」

谷口海斗選手(©ALBIREX NIIGATA)

第32節、アウェイでの金沢戦、1点を追う後半33分、アルビレックス新潟はPKのチャンスを獲得した。

「気が付いたら、ボールをセットしていました」。こう話すのは、2021年10月30日現在、チーム最多となる12ゴールを上げている谷口海斗選手。

「外した瞬間、頭が真っ白になった。あのことは反省をした上で、ピッチの上できちんと責任を取らないといけない。本当に自分の良さをどれだけ出せるか、得点という結果にどう繋げられるかが大事。とにかくシュートを打って、枠に入れていくだけ」

それから約3週間後の第35節、秋田戦で後半から投入された谷口選手は、50メートル近いロングシュートを決めた。「自分が試合に入ったら、シュートを打たないといけないと思っていました。あのシュートは本当に感覚、考えていたら多分入らなかったかもしれません。体が勝手に動いたというか、パッと状況を見て、いつの間にかやっていた感じ。言葉にするのが難しいんですけれど」

セカンドボールを拾った高木善朗選手からのパスを、体を反転させつつ受け、同時に相手ゴールキーパーの位置を確認。やや前に出て来ていることを見た上で、右足を振り抜いた。「打った瞬間に入ったという手応えがあったし、弾道的にも入るなって思いました」

J3得点王という肩書きを持って、今シーズン、新潟にやってくるも、高知キャンプはけがで出遅れてしまった。チームメートに自分のプレースタイル、動きを知ってもらうまでに少しの時間を要し、初得点を決めたのは第10節の愛媛戦。

「夏が好きなんです、調子が上がってくるから」。この言葉どおり、7月に入り、コンスタントにゴールを量産。多くの試合でチームの勝利に貢献してきた。

新潟は10月31日、アウェイで岡山と戦う。昇格の可能性がまだ残っている中での対戦。新潟は是が非でも勝ち点3を奪い取らなければならない。

「よりシュートにいけるボールがほしいとチームメートとあらためて話しました。シュートやクロス、大胆なプレーを出していかないと相手から怖がられないと思うし、結果として得点にも繋がらない。もっとゴールに迫る意識を持たないと」。岡山戦の前日、記者からの質問に答える谷口選手のまっすぐで鋭い目つきが印象的だった。

◎アルビライター コジマタケヒロ

練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート

© にいがた経済新聞