<社説>きょう衆院選 沖縄の未来決める1票を

 第49回衆院選は31日、投開票される。計465議席(小選挙区289、比例代表176)を1051人が争う。 今回の衆院総選挙は、新型コロナウイルス感染症の流行後初となる。感染症拡大防止や医療体制の確保、規制措置で落ち込んだ経済の立て直しが喫緊の課題で、それらの手法が最大の争点だ。

 沖縄選挙区では名護市辺野古の新基地建設の是非や経済振興の在り方、貧困対策などが主な争点。選挙結果は、日本そして沖縄の未来を大きく左右する。候補者の政策や人柄をよく吟味し、沖縄の未来を決める貴重な1票を投じてほしい。

 衆院選は、政権を選択する重要な選挙である。現在の岸田政権は発足から間もなく、ほとんど実績がないため、9年近くに及んだ安倍・菅政権の評価が問われる。

 とりわけ後手後手だと批判されているコロナ対策が焦点だ。感染者数が少ない傾向にある現在、感染が再拡大しないよう3回目を含めたワクチン接種の推進、PCR検査の拡充、水際対策の確立、自宅療養が生じない病床確保などだ。暮らし・経済面では生活困窮者への支援、格差解消、景気浮揚策が求められる。ただ財源なきばらまきでは困る。国の借金を増やすだけだ。

 森友・加計学園や「桜を見る会」の問題を巡っては、どう政治への信頼を回復させるのか、対応策や説明が焦点になった。選挙戦を通じた与野党の訴えに有権者はどのような審判を下すか、注目される。

 一方、沖縄選挙区では、コロナ対策のほか、名護市辺野古の新基地建設と米軍普天間飛行場の返還問題が大きな争点になった。県内4選挙区に前職6人、新人5人の計11人が立候補し、論戦を繰り広げてきた。普天間飛行場の返還問題では、「唯一の解決策だ」として新基地建設を進める自民・公明の勢力と、「辺野古新基地建設反対」の一点で結集した「オール沖縄」勢力が全面対決する構図だ。

 2019年の県民投票で投票者のうち、基地建設に伴う辺野古埋め立て反対が多数を占めたにもかかわらず工事を強行している政府の姿勢を認めるのか、認めないのかが、今選挙で再び問われる。

 経済振興を巡っては、コロナ禍で落ち込んだ観光を中心とした業界をどう立て直すかが重視された。さらに県内各地に漂着した大量の軽石撤去は、国、県双方にとって大きな課題だ。解決に向けて取り組む各党の姿勢が問われる。

 コロナ禍脱却をはじめ、多くの重要施策を決める今回の選挙ほど、重い1票はないだろう。国政に有権者の意思を反映させる上で重要なのは投票率だ。過去3回の衆院選では全国、県内ともに50%台と低迷た。選挙は民主主義の根幹であり、主権者である国民が政権の維持か交代かを選択する唯一の手法だ。コロナ禍にある今こそ、私たちの切実な意思を国政に届けよう。

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