記者が初体験してわかったカーリングの難しさと奥深さ 投げるのも掃くのも至難の業だった…

山口剛史(左)からカーリングを教わる本紙・中西記者(東スポWeb)

【取材の裏側 現場ノート】カーリングってこんなに難しいのか――。普段は担当記者として取材する側だったが、実際にプレーする中で改めて選手たちのすごさを肌で実感した。

日本カーリング協会(JCA)は24日、横浜銀行アイスアリーナで体験型イベントを開催。長野五輪女子代表の大沢明美氏、平昌五輪男子代表の山口剛史氏(SC軽井沢)らを講師に招き、子供から大学生まで幅広い年代の人たちがカーリングを楽しんだ。

今回のイベントは報道陣・関係者向けの体験時間も設けられており、上司から「せっかくだからやってきなよ」と指令を受け、人生で初めてカーリングに挑戦。ロコ・ソラーレのスキップ・藤沢五月ばりの好ショットをハウス中央に寄せてやろうと意気込んでいた。

ところが、現実は甘くなかった。ストーンの重さは約20キロ。いくら氷上でも動かすのに一苦労。さらに、カーリングでは各選手が片足のソールにスライダーと呼ばれる滑りやすい素材を付け、当たり前のように氷上を滑りながら華麗なショットを放っているが、私にとってはスライダーを付けた状態で動くことすら至難の業だった。

続けて、参加者らによる試投がスタート。山口氏からは「反動をつけて軸足に体重を乗せて投げるといいよ」とアドバイスを受けたとはいえ、そもそも軸足に体重を乗せた状態でバランスを保つのがやっと。思い切って投げてみたものの、案の定バランスを崩し、ストーンは左へ流れてしまった。その後のミニゲームは本来の距離(約40メートル)の3分の1くらいのリンクで行ったが、ハウス左隅にストーンを置くのがやっとだった。

ストーンの動きを微調整するスイープ(掃く作業)も相当しんどかった。たった20秒掃くだけで、息が上がってしまう。リードやセカンドは1試合で約80回掃くと言われており、想像しただけで恐ろしくなった。体験前に山口氏が「明日は筋肉痛になっても大丈夫ですよね?」と話していた意味をようやく理解した。

ただ、カーリング関係者が「子供から大人まで他のスポーツよりも簡単に取り組めるのは大きい」と口をそろえるように、野球やサッカーより簡単な動きで楽しめるのが大きな魅力。しかし、まだまだ本州にカーリングができるリンクは少ないのが現状だ。山口氏は「やる場所を今後増やせていけたら」と普及に意欲を示した。

体験会後には、他社の担当記者と「またやりたいですね」とリベンジを誓った。北京五輪まで残された時間は少ないが、本番に向けて個人のカーリングスキルを高めた上で、魅力を発信していきたい。(五輪担当・中西崇太)

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