根尾の“起用論争”に決着? 主力引き留めも急務…中日・立浪監督、求心力の見せ所

中日・立浪和義新監督(左)と根尾昂【写真:小西亮】

就任会見でキッパリ「使命は、とにかくチームを強くすること」

低迷からの脱出を目指す中日に、待望の立浪和義新監督が誕生した。スター性に裏打ちされたリーダーシップで強化を図っていくことになるが、すぐ目の前にはチームの浮沈を左右しかねない事項も。新指揮官の求心力と、適材適所を見極める眼力が問われることになる。

29日の就任会見で、立浪監督は言い切った。「私に与えられた使命は、とにかくチームを強くすること」。落合博満監督時代の2011年以降、10年も遠ざかっているリーグ優勝。再建は待ったなしで、“スターOB”に白羽の矢が立った。2022年シーズンに向け、まずは戦力整備が一丁目一番地となる。

昨オフは、エース大野雄大投手を残留させることに成功。ただ今オフも、FA権を取得した主力たちの引き留めが求められる。チーム最多66試合に登板し、33ホールド、8セーブ、防御率1.28と抜群の安定感を見せた又吉克樹投手や、昨季最優秀中継ぎを受賞した祖父江大輔投手、トミー・ジョン手術から今季復活を果たした元守護神の田島慎二投手と欠かせないリリーフばかりだ。

祖父江は来年35歳、田島は故障明けという状況もあるが、又吉は他球団が熱視線を注いでいるのは間違いない。先発に挑戦した2019年と故障の影響があった2020年以外の6年はいずれも40試合以上に登板。タフなサイド右腕の流出となれば、勝利の方程式に大きな狂いが生じることになる。

近いうちに世代交代は不可避、後釜の若手台頭が欠かせない

野手陣は、世代交代が近いうちに不可避となる。不動の中堅・大島洋平外野手は来年37歳シーズンに。両翼は最後まで固定できず、ぽっかり空いている。内野は三塁の高橋周平内野手、遊撃の京田陽太内野手、二塁の阿部寿樹内野手は30歳前後だが、後釜となる若手が育っているとは言い難い状況でもある。

将来の主力として期待される筆頭候補なるのが、3年目を終えた根尾昂内野手。今季は遊撃での定位置奪取を掲げたが、外野で開幕スタメン入り。シーズン後半戦は2軍で研鑽を積み、最終盤に1軍再昇格して遊撃からの景色を体験した。

ファームでの起用は、遊撃優先。もちろん大きな伸びしろがあるとは言え、周囲の見方で大勢を占めるのは「守備は京田に敵わない」。自身は遊撃で高卒新人ながら開幕スタメンを勝ち取った立浪監督なら、余計に力量の判断はシビアになる。内野か、外野か、両睨みか、打撃優先か――。ブレない育成方針こそが、ブレークへの近道になる。

「最近のんびりしていた生活を送っていましたので、こんなに忙しくなるんだと痛感しております」と会見で語ったミスタードラゴンズ。強固な土台を作れるか、スター監督の“剛力”に竜の命運がかかっている。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2