バイクシェアリングの効率的な運用に新しい数学的手法、東京理科大学などが提案

東京理科大学の池口徹教授らの研究グループは、日本工業大学と共同で、複数車両が再配置を行う「バイクシェアリングシステム・ルーティング問題(mBSSRP)」の準最適解を短時間で求めるために、新しい探索戦略を提案し、ポート数が多数になった場合でも合理的な時間内に良好な実行可能解が得られることを示した。

バイクシェアリングシステムでは、多数の自転車が往復だけでなく片道でも利用されることで各ポートの自転車台数の偏りが生じるため、これを効率的に改善するためのアルゴリズムが求められていた。池口教授らは、これまで解決されなかった再配置作業の時間的制約や実行可能性などを踏まえ、この問題をmBSSRPとして定式化した。しかし、ポート数が大規模になると、現実的な時間内に最適解を求めることができないことが課題だった。

今回の研究では、再配置作業時間などのさまざまな制約を満たし、かつ実行可能な解を導き出すアルゴリズムを導出する手法を開発することに成功した。この手法により、小規模な問題に対しては、より短時間で最適解を得ることができるようになった。さらに、大規模な問題に対しては、実行可能解を探すだけではなく、実行不可能な解空間についての探索も行うという従来とは異なるアプローチにより、良好な近似解を得ることを可能にした。

バイクシェアリングシステムにおける自転車の偏りの解消は、導入が急速に進む現代社会で喫緊の課題となっている。今回の研究により、自転車配送車による自転車の再配置作業を効率よく実行する手順の提示が可能になった。この成果は今後、便利で快適なバイクシェアリングシステムの構築と運用の重要な基礎となるとしている。

論文情報:

【Applied Sciences】Strategy for Exploring Feasible and Infeasible Solution Spaces to Solve a Multiple-Vehicle Bike Sharing System Routing Problem

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